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当時、シンクパック(米太平洋司令部)のブレア大将はフィリピンに対してコメントを出しました。フィリピンが攻撃された場合には、米国は放置しないと。

ところで、中国の活動の裏には軍がいるわけですか。

 

44:試掘リグも海軍の造船所でつくっている

 

平松 やっているのは全部海軍です。一般の人ができるわけがない。さっきの試掘のリグですが、あれは中国がつくったと言っているけれど、あれは海軍の造船所でつくっています。造船部門というのは軍がいまだにコントロールしていますから。これはむしろ当たり前の話で、民間に転換したと思うのはおかしいですからね。

中国の海兵隊というのは、要するに陸戦隊ですね。まだ中国の陸戦隊というのはそんなに−。私は海兵という言葉を使わない方がいいと思う。海兵という言葉を使うと、一般的にはアメリカの海兵を想像しますが、そんなレベルまで行っていませんから、海軍でよろしいんじゃないでしょうか。中国側は海軍がやっているということは言っていますから。それから退役軍人とか、いまのように民営化とか市場経済化ということになってくると、出向という形で海軍の人間が背広を着て出ていくということも充分あり得るわけですが、あくまでもコントロールは海軍のもとで、民間を装ってやっていると考えなければいけないと思うのです。

 

45:尖閣列島についてのこだわり過ぎ

 

ちょっといまのことで、今日はここに海上自衛隊の提督をやってアメリカとの関係があった方もいらっしゃるので、こういう機会に伺っているのですが、私はアメリカの動きを見ていて、アメリカは力のある国ですから、そんなに島にはこだわらないのであって、航行の自由さえ確保できればいいということで、私は尖閣列島だってあまりこだわらないだろうと見ています。むしろそれよりは、一番問題になるのは、宮古島と沖縄本島の間の水域を中国の軍艦などいろいろな船が、自分の海であるかのように出入りするようになるという事態は許さないでしょうけれど、尖閣列島にはそんなにこだわらないと思うのです。

私は、尖閣列島については皆さんがこだわりすぎていると思うんです。中国が尖閣列島にこだわるんだったら来ないと思います。ほかのところで石油が出るなら、いまの状態でどんどん石油開発をすればいいわけですから。石油が出ようが出まいが、石油の試掘なり採掘をやっているということでプレゼンスを示せばいいわけですから。そうやってだんだん出ていくということに対して、日本がいまのような態度でいる限り、強い態度でやらない限りはだんだん既成事実がつくられてしまいます。ちょっと尖閣列島は残して、石油開発が進む。あるいはどんどん出てくる。それが一番怖ろしいことであって、あまり尖閣にはこだわらないことだと思います。

 

 

 

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