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43:沖縄の情勢について

 

恵 私は沖縄に住んでおります恵と申します。1 ご参考までに申しますと、1999年7月16日(金)の話ですが、その1週間前に李登輝発言がありまして、中国の軍艦が10隻、沖縄近海で活発な活動をいたしまして、かなり緊張したんです。米軍はその時にコソボの方に主力が行っていたものですから、航空母艦も太平洋にはいなかった。非常に危機的な状況になるのではないかと思ったのですが、米軍はこのときに警戒レベルを4に引き上げました。日本のマスコミには報道されなかったんですが、かなり緊張した状態が7月16日から19日ぐらいまで続きました。先生がお書きになられたチベット問題に関しても、中国は力の空白が生じたときに出て来るという習性を持っていますので、中国の沖縄近海における活動は、慎重に見ておかなくてはいけないということをみなさんに披露したくて申し上げた次第です。

平松 産経がこの十年ぐらいかなり中国の海洋活動について載せていますが、ほとんど僕が提供しているんです。僕がいなかったら何も載らなかった。しかもけつをひっぱたいて、ワーワー言わないと載せない。ちょっと手を抜くと載らない。そういう意味で産経新聞に載らない空白の時期があるんですね。そうすると、最近載らないですね、と言われるのですが、僕が忙しくてほかのことをやっているときに何か起きてもとても手が回らないから、そうすると載らない。それから向こうの人間が替わると全部一から十まで教育しなければいけないわけです。そうすると、くたびれてもういやになったりするんですね。それは良くないので、そういうことを苦にせずにやらなくてはいけないのですが、人間が替わるたびに一から十までやるのもいやになるので、いままで書いたのを読めということになったり、忙しかったりする。そうすると載らないんですね。

恵 もう一つ注意しなければいけないな、と思っている状況は、中国が沖縄にさかんに要人を送ってきます。また、沖縄県は福建省に約4億円を投じてビルを造ったんですね。それは沖縄の企業を誘致するという触れ込みでつくったんだけれど、所有権は中国福建省人民政府外事弁公室で、12階建ての殆どを使っている。沖縄の企業は1社ぐらいしか入っていない状況であります。開館時、沖縄のマスコミがなんという報道をしたかというと、琉球王朝の時に向こうへ朝貢に行ったものですから、「福建・琉球館を復活」というタイトルを新聞に出した。要するに目に見えない段階で中国は、日本帝国よりも明、清が琉球を独立国として扱いましたよというノスタルジアをつくってきている状態でありますから、ちょっと油断していると、沖縄が中国が主張している尖閣列島どころではなくて、琉球列島も中国のものだという議論に若干の肯定性、あるいは既成事実をつくられる要素もありますので、内外とも沖縄問題は目を離せない状況であります。

 

1 恵竜之介氏のホームページ(英語・日本語)は、http://www.glocomnet.or.jp/okazaki-inst/(岡崎研究所)のホームページの「リンク集」にあります。また、台湾関係(英語)については、同じ「リンク集」のなかのTSR (Taiwan Security Research)参照。

 

 

 

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