その次はフィリピンかマレーシアだということになるわけですが、私は米軍がいるからフィリピンよりはマレーシアの方が出て行きやすいだろうと思ったわけですが、アメリカが引き揚げるということを狙って出てくるわけです。
[フィリピン付近の海域図] ここにリードバンクというところがありますが、ここは石油が出るところです。そしてこちら側がベトナムの石油が出るところです。フィリピンの方は、石油が出るらしいということで、出るかどうかやってみなければわからない。そのリードバンクという石油があるところと、フィリピンが領有している地域に割り込んでくるということで、ここには載っていませんが、実際にフィリピンではこのあたり、ミスチーフと呼ばれているところに出てくるわけです。中国は1990年代にはいるとこのあたりに出てきて、無人島に主権碑をどんどん建てていくということをやっているわけです。そして現実に出てくるのが1994年の後半で、そして、先程お見せした形のものをつくるわけです。実をいいますと、ミスチーフに出てくるのを一番初めに突き止めたのは読売新聞の浜本氏ですが、記事になるのが半日おくれたために読売のスクープにはならなかった。
20:ミスチーフ環礁の永久施設
[ミスチーフ環礁の図] これを載せたのは読売で、これは浜本氏が取ったものですが、ミスチーフの地図です。これは非常に大きな環礁で直径10kmと書いてありますが、中国側の発表によると7〜8kmです。測り方によるでしょうが、10kmまではないけれど、7〜8kmということです。この距離は、直線距離でいうと東京と新宿ぐらいになるのだろうと思いますが、そのぐらいの大きな環礁で、その中に4ヶ所に出て来る。そのときに、これはベトナム沖での行動から見て、間違いなくちゃんとした永久施設がそのうちにできるよ、だからこのまま放っておいてはいかんよ、と言っていたのですが、なかなかそれが具体化せずに、最近になって、一昨年の暮れ頃から急速に進み始めたということです。
これは新聞で報道しましたからご記憶があると思いますが、幾つか発表した写真を見ると、違うのです。明らかに別の建物で、同じものではないのです。屋根を見ても、明らかに違いますので、二つ作っています。さらにもう一つ出てくるものを見ると、これも違うらしいということになってきて、どうやら4ヶ所につくっているのではないかというのが私の推測です。そうなるとかなり本格的な基地が出来上がっている。中国側はこれは漁民の漁業のための施設ですと言っているわけですが、実際にこれをつくっているのは海軍ですから、海軍が主体となっていて、漁民にも使わせてあげますよということか、あるいは漁民を装っているということになると思います。そういう事態が進行している。
まず最初に調査船がやってきて、出るところは充分調査して、フィリピン沖には明らかに海軍の基地を造っているわけです。西沙の方は航空基地を造っているということですが、最初に充分海洋調査活動をやって、それから出て来ているということです。その観点から見ると、東シナ海に十年後に出てくるよということを言ったわけですが、現実に進出してきているわけです。