大内 曽野綾子さんが社長さんですか。
日本財団 ええ、会長ですね。
大内 いつかSEAPOLにお招きして基調講演をしてもらうのはどうですか。やはり多くの人に理解してもらわないと、いかがわしいものがたくさんありますので、本格的にやっているところですから。
29:「海洋政策のない海洋日本」
日本財団 今、おっしゃっていただいたようなことを、調査から帰ってきたときに、私の上が常務理事で寺島紘士という運輸省出身のものなんですが、非常に前向きに、この前ですが朝日新聞の「論壇」にそういうものが必要だと書いています。(事務局注:1999年12月3日、「海洋政策のない海洋日本」)日本は、縦割りではなくて総合的に解決するところがなければ、それは進まないだろう。それでなおかつ、そのためにもシンポジウムというのもひとつ。先ほどおっしゃったようにシンポジウムというのは事務的なところとかいろいろなデータがなければいけないので、そちらの方向で進んではいるんです。私どもが運輸省認可であるということには間違いないんですが、かなり財団色が強い団体として活動させていただいていますので、ひとつひとつを運輸省のほうのご機嫌を聞きながら実行するというようなことではありません。昔はそうだったかも知れませんが、ここ十数年そういうことはございませんから。
大内 今までは財団としてはソフトよりはハード面で運営してこられたんですか。
日本財団 分野によりまして、ハードというふうに限定もできません。ただ、今日のテーマに沿った分野で申し上げるとわれわれにとってもマラッカ、シンガポール海峡の航行安全の分野においては、主として航路標識の設置です。
ただ、ソフトの面で何をやっているかというと、シンガポールはもう自分でやっているんですね、インドネシア、マレーシアの、日本でいうところの灯台部、航路標識の担当の部署の人たちに対して、マレーシアは比較的意識が高いので自分たちでノウハウを身につけた。昨年の12月に施行されたTSSの延長ですね。そこで必要な灯標も全部マレーシアは自分で設置しました。VTISも自分で設置しました。ところがインドネシアがその力がないんですね。ですからインドネシアの技術者たちをトレーニングするメンテナンスのノウハウですね。日本の技師が行ってやるんですが、これは保安庁の水路部も灯台部も協力しているんですけれども、育たない。国民柄というんですかね。ですから、この話題を外すと、ソフトの面でやっている事業もたくさんあります。ハードばかりではありません。
大内 SEAPOLは全面的にソフトですよね。そういうひとつの傾向としては。
日本財団 ですからむしろハードという物の支援にはもう限界が見えてきていて、結局物は造ったけれども活用されない。政治的に利用されるとか、いろいろ悪い面も見えてきていますね。ですから、やはりソフトの支援というのが重要だという認識は持っています。それはどの分野においてもそうです。
大内 福岡に私がいたときに、「アジア文化賞」というのがあるんです。賞金は、たった500万円ですが、個人は300万円。「来年は文化賞をSEAPOLにやろうか」という段階で、私が東京に引っ越したものですから、応募できませんでしたが、しかしそれなりの資料は山のように積み上げました。立派な資料があります。