一つ大きく変わったのは、視野を相当広げたことです。いままでも船だけではなかったんですが、そうやって大きな視点から、国内と海外を一つにした。財団全体から言いますと、昔から国際部があるわけですから、海外も見ていたんですが、対象となる範囲が広すぎますので、やはり海のこと、船のことは、海洋船舶部で一括して見よう、その方が効率的だろうということです。それができましたときに、ヨーロッパとアメリカに調査団で出かけまして、いろいろな調査をしました。先ほどおっしゃったような、日本には総合的に管掌するセクションがない。縦割り行政ですから、それをいち早く何かの形で提案することにいたしました。
海賊のこともそうなんですが、あれも、いち早く私どもがアンケート調査をした。やはり利害関係がありまして、海賊に襲われたという数字はあまり公開したくないということもありますが、私どもがやったら実態が出て来た。それで運輸省は、おれたちが報告を受けている数字と全然違うじゃないかということもありましたが、それでもそれが一つの大きな、今回のアロンドラ連行事件などの解決には良かったと思うんですね。やはりマスコミの人にもわかっていただき、一般の方にもわかっていただいた。そういう形で貢献しています。そういう地道な調査もやります。
手がけたいなと思っていますのは、海外事業としては、日本はアジアで生きているということが大きいわけですから、そちらの方で、一つでなくてもいいんですが、小さなものでもいいんですが、何かいい事業が展開できないかということです。
大内 環境を考えていかないといけないですね。海も環境が大きな問題で、従来の管轄権が広がってきて、複数の国が環境汚染については裁判になるようになりました。ですからほとんど同時に環境にも関係する。そういう意味では、ひょっとしたらNGOを作る必要があるのではないか。SEAPOLがNGOの申請をして認可されたように、こういうところも曾野綾子さんとお話になられて、物わかりのいいNGO、モデル的なNGOを作りたい。あまり物わかりのいいNGOというのはないですよね、グリンピースぐらいですね。だからグリンピースに対抗する海のもう一つのNGO的なものがあるといいなと思うんです。それは企業をまたがったものですね。
加藤 結局ネットワーク型でないと駄目なんですね。この一年いろいろな勉強をして、漁業の関係、エネルギーの関係、海洋法の関係の方のお話を伺って、結局縦割り行政ではダメだということがわかりました。仮に日本財団が「海のシンクタンク」をつくっても、失礼かもしれないけれど、運輸省の認可団体としての制約がある。でもどこかしっかりしたところがフォーカルポイントにならなければいけないけれど、そこから蛸足的にいろいろな分野の人たちをネットワークしておいて、こういう会議には、主たるテーマの人たちがグループで出て行く。そのようにすれば、たまたま「海のシンクタンク」は経緯上、運輸省の認可を受けているかもしれないけれど、そこが縦割りを横に引き出すようなネットワークを持っていて、こういう会議に体制をお作りになる。それが現実的な感じがしますね。日頃このグループはそういう中で先ほど言ったような海の安全ということに関してはかなりの蓄積がありますから、なにか、是非一度、そういう...。
日本財団 是非またいろいろと、私どももメンバーがおりますので、またじっくり勉強させていただきたいと思います。