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大内 タンカーの二重底ですね。あれもなんとかして、アジアの国に....。

日本財団 この辺の話はわれわれもいろいろやっているんですね。いま混乗船で、将来船長クラスが、日本もヨーロッパもそうなんですが、5年、10年先にはいなくなる。国際的な海事大学に呼びかけまして、海事大学連合を作りまして、来年第1回目を開きます。それで大学院大学を持っている海事大学が世界で40〜50ありまして、五大陸から代表者の方を集めて、準備のための会議をやりました。やはり陸からと船長教育の両方で海の安全を図っていこうと。

それから私どもも参加したらとおっしゃっていただいた話ですが、私どもと密接な兄弟団体みたいな、シップ&オーシャン財団というのがあるんです。そこと一緒に海のシンクタンク構想を手がけております。

 

27:外交問題として浮上する可能性を秘めた船員の人権問題

 

大内 われわれ学会の方で、もう一つ言うならば、船員の問題ですね。フィリピン人が多いですね。船員の人権の問題が出て来ていまして、給与面の差別をどこまで許すことができるかという問題があります。その法整備が国によって違うんです。ですから国際私法ではいいんだけれど、人権法では駄目だということがある。そういうところも手がけていかないと、こういう問題は将来急に外交問題として浮上することがある。一つ何か受け皿的なものが必要ですね。実は、ハワイには例のLOSセンターがすでにありますね。これはアメリカ政府と日本政府で、まさに10億円ずつ出し合って、いま主に日本の拠出金で動いています。私もそこに行っていたことがあるんですが、ここがいま行き詰まっています。なぜ行き詰まっているかというと、政府同士ですから、規制が大きい。実は、SEAPOLでやっている仕事の一部はハワイのセンターから派生してきたものなのです。SEAPOLのピパッ事務局長が私に言うのですが、「うちの方はうまくいっているよ」と。非常に金が安くて、しかも活動しているよと。

 

28:日本財団との質疑応答:「船から海へ」

 

川村 もう時間がなくなったんですが、せっかく日本財団の方にいらしていただいたので教えていただきたいんですが、「船から海へ」という言葉だけを聞いたんですが、ちょっと教えていただけますか。

日本財団 私たちは、社会のニーズに合わせてボランティア支援部を作ったり、国際事業部を作ったりしてきたわけですが、今年(1999年)の4月からは海のこと、造船のこと。海というのは当然世界に続いているわけですから、海外事業課をつくりました。それで海に関しては国内も海外も一つでとらえています。国内ですと造船支援とか、そういうこともあります。もうひとつは、海ということを捉えますと、川も湖も全部循環しており海とつながっていますね。ですから、総体的な、海辺、周辺、エリアでとらえております。たとえば、フランスで良く取り組んでいるのは、エリアごとでのいろいろな取り組みですね。海外には、いまの船舶の状態、乗務員の問題、マラッカ海峡などの通航の問題がある。マラッカ海峡がほんとうに封鎖されたときにどうしようということで、予備的に北極海航路が使えないかというような基礎調査だとか、通常の国内の造船基盤強化のための基礎研究ですとか、いろいろなことをやっております。

 

 

 

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