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日本財団 簡単に日本財団がマラッカ・シンガポール海峡を整備している概要だけを申し上げさせていただきます。先代の笹川良一会長の時にそういう申請がありまして、国の方にあったみたいなんですが、国はどうしても受けられないということでした。あちらは非常に広いところと狭いところがある。海峡全体は広いんですが、特に大型船になりますと、タンカーなど水深20メートル以上ということで、通れるところが限られるわけですね。ですから一番初めに地図を作りまして、高低差を示し、それから浚渫をしまして、それから灯標を造りました。それも三十何基ありますから、毎年定期的に更新します。ひとつ更新するのに、本体だけで3000万円、大きな塔、灯台みたいになっているところは全然別なんですけれども、浮標のようなものでも、ひとつ3000万はするわけです。

それで、ずっと30年間、いま累計で約100億円を越しております。そういうことをしておりますので、そういったことに対して特に沿岸国三ヶ国、シンガポール、マレーシアそれからインドネシアについては、非常に理解していただいているわけです。マレーシア側、シンガポール側、それからインドネシア側と、いろいろなところに浮標があります。それで、あそこは分離通航帯方式になっていまして、道幅が狭いがために道路にセンターラインを設けて左と右とに分けています。そういうことで、今度はまたマレーシア側の大きい方、インド洋のほうの比較的大きいほうにも、やはり二つに分けて欲しいという要望がございまして、新たにレーンを引き直しまして、その時にまたさらに十個ぐらいそういう灯標を造りました。そして、壊れたらまた私どもが、必ず修理しております。ですから、それについては非常に高い評価をいただいております。

それと油火災とか、もし油事故とかそういうことがあってはいけないので、機材の整備と運転資金的な基金と油防御材のいろいろな機材を配達したり、そういう事業も合わせてずっと続けてきております。ですから本来ならば国ですか。でもさっきおっしゃったように海洋法から見て日本が出すということがいいのかどうかですね。それと日本はこの前の国際会議ではうちの役員も参加したんですが、NGOの会議に出たときに、日本はこういうことをしてくれている、しかしいま台湾とか中国とか韓国、こういうところは全くただ乗りじゃないかという議論が出てきているということを聞いております。

 

11:東南アジア諸国が米海軍の行動の自由を戦略的な視点から検討し直すこと

 

大越 質問があります。先ほど大内教授のほうからマニラの会議で川村さんと小川さんからスピーチがあり、それを聞いた方々から高い評価があったということですが、具体的にどのようなことが話されて、どのような点が評価されたのかをお伺いします。

川村 私が申し上げたのは、海洋法自体が非常に条文が曖昧なために、各国で解釈が分かれるわけですね。例えば群島水域ひとつとっても、インドネシアはそこを通る船に対する自国の権限を主張しているわけです。したがってアメリカ海軍、第7艦隊の軍艦が通る場合も、いろいろな条件を付けて制限をしている。例えば航空母艦は飛行機を〔甲板上に〕係留しろとか、潜水艦は浮上して通れとかというような制限をつけています。そういうことでアメリカ海軍の行動の自由が制限されているということです。

 

 

 

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