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唯是 これはバイオテクノロジーの問題ではないんですが、千葉県の手賀沼というのは日本で一番汚染がひどい。あそこにいま筑波大かどこかの人々が、いかだを組んで、クワイを栽培している。それが塩素系物質を吸収する力を持っていて、かなり成功している。だから富栄養素で汚染された手賀沼は、実は非常に豊かな培養体があるところなんだという見方にして、そこでクワイを作って、それでいろいろ分析しても、他のところで作るのと同じぐらいで、費用も安い。そういうことを実験しています。これはバイオ以前の問題です。

発想を変えれば、おっしゃる通り地政学的な制約というのはどんどん撤廃されていくんです。だからバイオがそういうところに入って来たら本当に変わるわけです。ヒマラヤで何かできるかもしれないし、それはいろいろなことをやれるかもしれない。タバコだって今は問題になっているけれど、タバコを吸えば肺がんが治るというものが出てくるかもしれません(笑い)。そうしたら嬉しいですね。いや、そんなことはないとは限らないです。酒を飲んだら高血圧が治るとかね。それは何とも言えないです。だから発想を自由にして考えて構わない。

山本 〈…マイクから遠いため聞き取れず…〉。

唯是 これからは僕はそうだと思います。それがいろいろなディメンションの安全保障になると思います。すいません、つい農業がどうも専門なもので、そっちに行ってしまいまして。

加藤 遺伝子組み替えは嫌だとか、天然のものがいいとか言う人がいますが、これはよくわからないんですか。

 

20:神のみぞ知る遺伝子組替操作の帰結

 

唯是 遺伝子組替操作というのは、遺伝子のDNAをつなぎ変え、つなぎあわせていくわけです。そういうのは今までは突然変異だったんです。突然変異で起きて、まったく信じられないものが出てきて、それが人間にとって非常にユースフルだったら、それを増やしていく。それをバイオテクノロジーというもので突然変異を人間がやって、しかも人間にとって有用なものをだけを作るように操作しているわけです。だからそのこと自体、いわゆる突然変異で作られたものが人体に害があるかどうかという証明は非常に難しい。しかし、そういうことをいったら、いまのハイブリッド技術でちょっと離れた種類のものを交配させて、両親のいい所を取るものだって、自然の淘汰を経ていないわけですから、危険かもしれない。われわれそれをやって、できた物を食べている。それが人間にとって本当に大丈夫かどうかということは何百年か経たないとわからない。ただそれが証明される前に、ハイブリッド食糧は自然の淘汰を経ていないために、人間のサポートが必要になる。それで薬品とか機械とか工業化が必要なんです。それが環境問題を起こす。しかし、汚染は問題にするが、雑種交配については、天然で起きていないのに、誰も問題としていない。そこのところを遺伝子組み替え操作はもう一段奥に入っている。遺伝子の段階でそれをやることが、いいか悪いかということですが、いまのところだれも分からない。

 

 

 

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