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特に、タラとかカレイみたいに境界をまたがった魚類や回遊魚みたいなものは、最も対象になりやすいので、それぞれの国で監視しているわけです。だから捕る漁業には違いないけど、やりすぎると常にその問題が出てくる。日本では国内で漁をやる場合、網のところにクワみたいなものを付けて、瀬戸内海をそれを引っ張って漁をしたんです。だから根こそぎ魚種を全部捕っちゃうんですね。それで完全に根絶やしになったので、それでは駄目だというわけです。だから、境界を接しているところは、世界全体の問題にもなっているし、お互いに関心が強いから、割当を守らざるを得なくなってくる。また、自分のところで安心して捕れるといっても、それをやったら自分自身がアウトになるんです。だから結局日本がやっている道を学ばなければいけないということになっているんでしょう。それは時間がかかるけれど、それ以外にないはずです。日本もまだ本当の栽培漁業を確立していませんからね。でも捕る方に行ってしまうのはまったく情けない話で、魚類は印を付けておいて、これは俺のだというわけにはいかない。だからその辺の問題をどうするか。技術的にそういうものも含めて、もっと思い切った規制をやった方がいいと思いますが。

 

12:資源ナショナリズムが許される時代は終わった

 

川村 資源ナショナリズムみたいなものがありまして、制限水域とか、アメリカとかカナダとかも太平洋に設けておりますね。捕る方も大変なんですが、漁獲量の割当の問題も、合意を得るまでが非常に大変でしょう。

唯是 大変だと思います。でもそれはお互いにしょうがないんじゃないですか。言いたいことをお互いに言い合って納得していくよりしょうがない。そういう時代、そういう社会なんでしょうね。

 

13:クジラ・イルカ・マグロ

 

川村 ただ、先ほど言われたように、西欧の漁業に対する考え方、例えばグリーンピースみたいなものが出てきて、変な要求になってしまうと困るんですが、そういう問題というのはどうですか。

唯是 クジラとかイルカ、マグロですか。あれも資源を守るという意味から日本が捕り過ぎるという話と、マグロは可愛い動物だという観点からやるのと、二通りあるみたいです。しかし、魚を食べてない国はないわけです。ただ日本は食べ過ぎているという印象はあるでしょうね。他の国がだんだん食べだしてきて、体にいいものだとかいうことがわかってきたら、日本は食べ過ぎているんじゃないかという問題はある。だからそれだけに日本近海、200海里の中で、それこそ自給する体制を作り上げるというのは大事だと思いますね。その辺が安全保障なのかもしれない。その上、領海問題、国境問題とからんできますから、なるべくフリクションがないところで、相当の自給ができるといい。そういう体制をつくらなければ。

 

 

 

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