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唯是 ないです。僕もそれはずっと見ているのですが、つくるべきですね。

秋元 排他的経済水域で、海の地図がどうなるのかという地図さえつくっているところがないんです。海洋国家日本が何をやっているかということで、急に壮大な質問になるんですが。

小川 排他的経済水域という統計のカテゴリーがいままでなかったんですか。

秋元 いや、1982年の海洋法条約ができて、排他的経済水域をとっていいようになりました。それで全世界の国々が排他的経済水域を宣言してきているんですが、この海はこの国の管轄権がありますよという世界地図が日本のどこにもないんです。

唯是 作れない所もありますね。中国にしろ韓国にしろ。それは別として、大きくはつくっていいはずですね。

小川 この間、私と川村さんがマニラの会議に出たときは、外国のどなたかが作ったものはありました。

秋元 外国にはあります。この間お呼びした布施先生も持っているんですが、日本ではつくっていないんです。どの国の排他的経済水域から、どの程度の魚を捕っているか、あるいは輸入しているかということが大事だと思うんですね。

唯是 強いていえば、遠洋漁業の生産額はそれに近いのかな。もちろん公海もありますから、一概には言えませんが。それができないところは全部輸入になるわけですね。そういう計算はやるべきですね。水産大学の井沢さんという年輩の先生ですが、水産の経済学は彼がやっているんです。だからつくろうと思えばつくれると思います。

 

8:安全保障政策無しの日本農業

 

秋元 農業には、これがいわゆる日本の安全保障かなという政策があると思うんですが、水産の方は大袈裟に言うと安全保障政策的なものはあるのでしょうか。

唯是 それはないです。農業だって、口では言っているけれどある意味ではないんです。ではどうするんだというと、それはないんですね。ただ、いろいろなレベルがあるんです。あるかどうかわからないけれど、完全に輸入が止まったときにいったいどうするか。それから期間もありますね。この前のアメリカによる大豆輸出規制のときみたいに2〜3ヶ月止まった、そういう短期に止まった場合と、今まで戦争以外にはないけれど、1年以上止まってしまう場合と二通りあって、短期の場合はおそらく備蓄でまかなえる。

 

 

 

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