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主要農産物も2〜3ヶ月の備蓄があればいい。これは農水省にいたときに計算して、だいたいそういうものをつくりました。

全面的に止まったらどうしたらいいかという問題は、栄養計算をして、そのままいったら寝ているよりしょうがない。あとは食生活を変えるということです。要するに今までと同じ食生活パターンを維持しようとするから栄養換算して、いまの42%しかないわけですね。だから食生活パターンを昔のものに変えたらいいのではないか。先ほどもいったように、栄養というのはバランスの問題であって、特定の食品の問題ではないわけですから。ある栄養を充足するのに、日本の国内でできるような食料で組み合わせる。いってみればそれは日本食なんです。コメを中心にした日本食なんです。そういうことをすべきではないか。まず第一に食生活パターンを変えてしまい、それを前提にして日本の国土資源で、魚も含めて供給可能かどうかという議論すべきでしょう。

それは前にNHKに頼まれて計算したんです。その当時、水田主体ですが減反をやめて、コメを全部元に戻す。それでコメ主体の食生活をする。魚も3割ぐらいが餌なんですが、それも食用に回す。輸入飼料で育てなければならないブタとか鶏はどうしようもない。日本の牧草資源だけで養えるところで牛をつくる。そういうふうに政策転換してやっていくと、2300キロカロリーの供給はできる。

厚生省の栄養の計算では、現在は1人1日2050〜2100キロカロリーです。ところが消費、実際に皿の上に残したものやペットに上げたものを含めてどのぐらい消費しているかというのは農水省の計算で、これは一人1日2600キロカロリー。僕が昔計算したときも、2550〜2600でしたね。そういう状況で、しかし、農水省の方には捨てている分も入っている。てんぷらを揚げた油を飲むかというと、飲まないでしょう。そういう廃棄部分があって、それも栄養換算している。だから2300でも、十分生きていける。日本型の食生活に戻せばいいのです。だいたい昭和30年頃のカロリーが2300ぐらいなんです。あとは昭和10年ぐらいの、戦前の一番いい時期でしたが、そのときが2300。その当時の状況であれば、生きていけるのではないか。

問題はパニックになったり、治安体制の方が大事なので、その気になってやれば、とりあえず2〜3ヶ月は食いつないでいける。そのへんのロジックというのは農政はいい加減で、輸入が全部止まったら寝てるよりしょうがありませんといいながら、だから自給率を上げなさいといっている。いまの食生活では、自給率を上げれば畜産物の餌をもっと入れるとか、大豆を入れるとか、そんな話になってしまいます。そんな餌は国内でもつくれるのではという問題もあるわけでしょう。現状の食生活を前提にした自給率向上は無茶苦茶なものになってしまう。

だから、そういう最悪の危機状態がきたときと、そうでない平和のときとは基本的にディメンションが違うわけです。それをディメンションが違うことを言っておきながら、同じディメンジョンに戻して、あとは農政の予算を増やすとか、そういう戦略に自給率は使われている。しかし、実際問題としてそれでは困るので、そういうことを考えておきなさいと再三いっています。

 

 

 

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