それでも200〜300%ありますから、結構まだ輸出しているということです。黒い線が南米です。南米も同様の状況で、やはり100%というのは需給がトントンですから、100%超えていれば輸出しているという状況です。それに対して、北米、西欧、アジアというのは下の方に100%のところを動いています。アジアは魚が捕れるときと捕れないときがあって変動が大きいのですが、むしろ北米がオレンジの線ですから、だんだん北米が上がってきていますね。オセアニアが黄色です。いずれも自給率が上がってきています。これは、ひとつは、これらの地域はそれまで水産資源というのは全然問題にしていなかった。内務省かどこかの担当だったと思います。最近は見直してきました。一つは輸出もできますし、やはり健康食品でいい食料だといわれます。南部は昔、綿花が取れたんですが、それがよくないので、全部池にして、ナマズの養殖をやっています。アメリカでもそういうふうにして魚介類の見直しがなされています。
[表4 水産物自給率(韓国・日本・中国・米国)]
韓国はご覧のような自給率ですが、最近落ちてきています。それはやはり200海里の問題もありますし、国内の消費も高いということもあります。日本はここにきて自給率が激減しました。日本は昔、世界一の生産国で、世界一の輸出国だったわけですが、それが昭和50年代にああいう状態になって、それでも生産は世界一を維持していました。その代わり輸入がさらに進んでいくということで、世界一の生産国でありながら世界一の輸入国だという時代が昭和50年代にありました。アメリカの牛肉に似ています。アメリカも世界一の牛肉生産国で、世界一の輸入国です。ちょうど日本の魚とアメリカの牛肉はよく似ていますが、ここにきて、生産は中国に譲ってしまいました。輸入は依然として世界一という状態です。
米国は先ほども言いましたように、水産資源の見直しで、むしろ自給率が上がっています。中国は内水面の漁業もずいぶんさかんにやっていますが、ご覧のように、やはり徐々に100%から80%の間で推移しています。人口が大きいですから、ちょっと輸入すると非常に大きなインパクトを世界に与えてしまいます。それだけに、尖閣列島とかにも目の色が変わるんでしょうし、これは領土の問題もありますね。竹島も、韓国がこういう状態ですから。水産資源の面からいっても、自給率の低下で、それ以上の問題もある。ロシアの問題もあるでしょうね。
[表5 水産物タンパク質の合計に占める割合(西欧・オセアニア・南米・北米・東欧)]
次は水産物のたんぱく質です。動物タンパクがあって、そこに水産物がどの程度の割合で占めているかというグラフです。西欧で面白いのは、1980年ぐらいまでずっと魚の割合が落ちていて、それから見直しがあったようです。これは日本にとっては、世界中で魚を食べられると困るのですが、とにかくこういう状態でまた水産のたんぱく質の割合が増えています。全体に東欧が少し落ちているけれど、あとはだいたい上がっている方向にあります。水産の見直しが世界的にこういう形で起きています。これは5%〜20%のところをグラフにしたので、圧倒的に多い所がアジア、アフリカです。