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曽我 これは一緒にやらなければいけない。日進月歩で進んでいるから、お金では買えない。その時までの、過去の技術は買えますよ。でも、その先は競争ですから。やはり一緒に仕事をして頼られる存在にもならなければいけないですね。

加藤 もし私がメジャーだったら、日本に教えたくないですね。たとえ組むとしてもね。でも私がノルウェーだったら、日本と組んでもいいと思うかもしれない。一番主要な生産地が離れているし。

曽我 今がワンチャンスなんです。ノルウェーは民営化をして株を放出します。それを日本が買う手はある。

十市 だけど、今の仕組みは、開発は国の金、税金でやっている。だから、投資するのなら日本に持ってくるのが前提ですね。ノルウェーみたいに遠いところの油を買ってもね。

加藤 アメリカやヨーロッパの立派なメジャーにとって日本は一番のカモだから、日本に技術を教えることはないだろうと考えますよね。

だからノルウェーならやるかも知れないんじゃないかと言ったんです。ノルウェーだったら技術を日本と提携するかも知れない。もちろん有料でということもあり得るかも知れない。それを使って、ノルウェーにしてみれば、アジアの鉱区を日本と一緒にやれる可能性があるかも知れない。あんな北海のひどい寒風の吹きすさぶところでも、それだけのコストでやれたのだったら、もうちょっとここらへんのところで一緒にやったら……。

十市 資源は空のところをいくら高度の技術で掘っても出てこない。そういう意味では、コストを下げるのは技術ですが、僕も専門家ではないですが、聞いている話では、今の技術は全部元売りです。下請け会社をいかにうまく使うかなんですよね。そういうオーガナイズをし、リスクを負って、いい鉱区をとって、それを最新の技術を持ったいろいろなところをうまくオーガナイズして使って、いかに安く掘るか。そこはやはりメジャーのノウハウなんです。メジャーも、開発から何から全部持っているわけじゃないです。サービスカンパニーはいっぱいあるわけです。

加藤 日本は、出来の悪い鉱区はたくさん持っているわけでしょう。

十市 だから油が出ないんですよ。悪い鉱区しか持っていないから、いくら技術があっても油が出ない。

加藤 本当にそういうことなんですかね。持っている鉱区の中に、ほんとうはきちんとした技術を持っていればちゃんと採れるところがあるんじゃないですか。

曽我 日本が撤退したところにトタールが入って油を出したこともあるんです。

十市 有望な鉱区を手に入れるかがすべての勝負なんです。あとは掘る技術です。

曽我 もうひとつは、評価力があるかどうかですね。有望な鉱区かどうか評価する能力です。試し掘なりなんなり、いろいろなデータを出して、それで入札しますけれども。そこから油が採れるだろうかという評価力があると思うんです。

 

38:鉱区を評価するだけの技術力

 

大越 そうしましたら、依然として相手の国のオファーに頼らざるを得ないというのは今後も変わらないんですね。例えばベトナムの例ですが、私は専門家ではないので、人から聞いた話だけれども、ベトナムがアメリカと国交を回復したいと。

 

 

 

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