日本財団 図書館


これを防がなければいけない。それが年間60億ドルとか100億ドルぐらいになるからです。それを原資にして、セキュリティ問題にお金を投じることはできないだろうかということがある。

もうひとつは、どんどん下がってきた原油価格がいま25ドルとかに上がってきているのはなぜかということです。私なりに考えたことですが、最近は巨大な国際的エネルギー会社の戦略提携が盛んにすすめられています。エクソンとモービル、BPとアモコがくっついちゃうわけです。フランスもトタールとエルフがくっついて一社になる。ノルウェーはどうかというと、たまたま政権が交代して原油価格を安定化させるというか、生産量をちょっとセーブする方向の政権に変わった。ベネズエラも比較的貧しい階層のためを考えるという大統領が選挙で選ばれましたので高値安定化の方向に動いてきている。これは、皆さんが予想されている状況だと私は感じます。

さて、そこで、ノルウェーが切り開いた原油コストに注目してください。「(1)2]のイ」に書きましたが、「5$/Bの開発発見コスト」+「生産コスト2$/B」=「7$/B」でこれからも開発投資を世界的にできるという。西アフリカとかアゼルバイジャンとか特に海洋油田開発をやっていけるということを言っている。25年間で、ノルウェーは、技術開発を進めた。

それにもかかわらず、25ドルという価格が維持されている背景には、OPECだけではない。OPECのまわりの人たちにも相談をしながらやっている状況があると、私は感じています。

東アジアにとって認識すべきエネルギー危機というのは何か。それは、ドバイ原油価格が「30万B/D、10年で枯渇する」だろうと言われていて、それを指標にしながら、いまやっているわけですが、月に6パイか7ハイの船しか動きませんけれども、インドが買うとすぐ上がるんです。ところがいっぽう韓国の純民族系はヒュンダイ製油とユコンというSKですけれども、ヒュンダイは今度アブダビに半分ぐらい資本参加してくれとやっていますから、残るのはSKだけになります。このSKも苦しんでドルが欲しいとのことでどこかと戦略提携しようといってやっていましたけれども、いま国内価格を相当高くして何とかやっていますので、どうなるかわかりません。

このSKだけで85万B/D消費しているわけですから、産油国やメジャーが、そういうものと一緒になりますと、30万B/Dぐらいのドバイ原油はより高くすることができるわけです。そういう脆弱なマーカー原油の問題があります。それに対するアジア勢のハンドリングの問題をどうするかということですね。

 

34:ノルウェーが25年でなしとげたことを、半分の期間で日本がやる

 

先ほど申し上げた東西格差の問題に対する抜本的な方策は、ノルウェーが25年でなしとげたことを、半分の期間で日本がやることです。アジアにおける国際競争力ある原油、天然ガス開発会社を日本がつくる。これは最先端技術の集積になります。

ノルウェーはたまたま自分のところに油田がありました。それを開発したいというシェルなどに開発をさせながら、技術を開示させてオープンにさせる仕組みをつくった。そして、サウジが1986年の大暴落をやったときに、北海原油は15ドルぐらいのコストだと言われたんですが、これをもっともっとコストダウンしないと、メジャーが掘っていけないぞという危機感を持ちまして、その結果、みんなで技術を出し合った。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION