日本財団 図書館


油自体がこれだけ、かつてに比べて安定している中で、特にやり方の問題はあるんですけれども、国が鉱区の先行的取得の7割近いリスクを負ってやるのは効率が悪いんじゃないかという議論があります。やり方をもうちょっと効率的なものにしないといけない。しかも世界的なメジャーがどんどん合併をしている中で、とても日本の後発組には有望な鉱区をとれまいという議論もある。

だから、むしろ備蓄で対応すればいいんじゃないか。自主開発だからといって、セキュリティ上絶対安全かどうかはわからない。それは、相対的な評価じゃないでしょうか。

 

27:アジアの共同備蓄では、日本が一番体力がある

 

加藤 話を戻して申し訳ないですが、アジアの共同備蓄では、日本が一番体力がある。備蓄を現に持っている。だからある程度急騰したり、量が減っても対応できる。先に音を上げて買えなくなるのはアジアの貧しい国でしょう。中国も含めて、外貨のない国が悲鳴を上げる。しかし、むこうは、「そういう時のために共同備蓄をしましょう」といっても、保険みたいなものにお金を出さないわけでしょう。

十市 まあ原油ぐらいは持つでしょうけれどもね。中身の原油ぐらいは負担するかもしれませんが、タンクとかそういうものはかなり日本が負担するということになるんでしょうね。

 

28:日本の選択肢:備蓄の一国主義

 

加藤 もっと利己的に考えると、日本は一番多く備蓄を持っているんだから、ほかの国が買えなくなって、どこかからか石油は出てくるんだから、価格が下がってくるまで待てばいいということでしかない。

十市 そこは一国主義でいくかどうかの話でしょうね。危機が起きて油が上がって、中国や韓国に経済的に大きな影響が出てもいいんだということならね。だけどアジアの経済への日本の依存度は高いですから、回り回ってくる。基本的にはアジアの経済が大打撃を受けないようにしないと、結果的には日本にとってはマイナスのインパクトがあるということです。一国主義はどうでしょうか。

 

29:日本のODAをつかって備蓄タンクをつくる

 

小川 そうすると、「よろしかったら日本のODAをお使いになりませんか」と言って、向こうが「お願いします。タンクつくって下さい」ということなら成り立つ話ですね。

十市 そういう話だと思います。だからODAの資金をうまく使って、そういう備蓄なりなんなりをやってもらう。備蓄の場所が沖縄になるかどうかは別としてね。そういう議論はかなり具体論としてあり得ると思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION