ところがいま可能性があるのがなぜ中国かと言えば、台湾の問題でトラブっている。中国はトラブルメーカーたるべき可能性が一番高いんです。
ところが、さきほど曽我さんは、中国は北と南とに分かれていると言われましたが、南部は自由圏側に近い。石油を輸入せざるを得ないからで、彼らも、われわれと同じシーレーンを使わざるを得ない。そうしますと、シーレーンに対する物理的障害を起こせない状況になる。
そういう意味で、私は今回の話に中国が乗ってくればもうけものだと思うんです。もちろん、北のほうの政治の力が強ければ乗ってこないかも知れません。
24:中国が構想に乗ってくるか?
加藤 中国は乗ってこないんじゃないかと思うんです。
山本 それは、曽我さんが言ったように、乗ってこなくてもともとですね。
加藤 中継基地とか作るとやはりコストがかかりますからね。乗って来ない以上、かりにいろいろ想定して沖縄に投資して中継基地を作っても、中国は使わないということでは...。
山本 韓国と協力したら、経済的に成り立つというようであれば...。
加藤 日本以外は結局金を出さないでしょう。今の中国とか韓国が、こういうことのために沖縄に投資をするとはほとんど考えられないですね。
山本 投資も含めて経済的効果があるよということになれば...。
曽我 計算をしてみる必要がありますけれども、10年とか15年に一回使うとして、少なくとも60億ドルとか90億ドル(6000億円から9000億円)の差がつくかもしれない。そうであれば整備する意味はあり得ると思います。
加藤 有効に機能するような中継基地を沖縄に作るために、どのぐらいの投資が必要だと考えるんですか。
曽我 それには、どのぐらいの規模でどれだけの効果があるかということをちょっと計算しなければいけません。現在の沖縄の基地の受け入れ能力は200万B/Dぐらいです。ただ、払い出しの設備がネックでして設備能力が100万B/Dぐらいです。もし、そういう高い低いが起こった場合に、西アフリカとか欧州からその100万B/Dを持ってくればそれはおさまるのかどうか。どんな状況になるのかというのは検討してみないとわかりませんね。
加藤 その差を何か設備的に投資する金額は…。
曽我 50億ドル(5000億円)ぐらいのオーダーでしょう。
加藤 例えばさっきおっしゃったように、サウジとかメジャーは、具体的に自分が目に見える金を出してもいいという関心を示しているんですか。
十市 今すでにStatoilはターミナルを借りて、コスモにお金を払っている。
加藤 借りるのは大したお金じゃないからいいけれども、投資は別次元の話です。
曽我 Statoilはいま民営化のさなかにありますから、それが決まってからになりますけれども、まあ韓国に行って借りたりすることでしょう。要するに原油を売るためにですね。自分のところはもう激戦ですからアジアまで来て売りたいという。