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次に18ページの上の図ではアラビアンライト原油の向け先別フォーミュラ価格の推移ということで、この差は欧州向けとアジア向けの価格差が1997、98年のある時期をとると3ドルとか、そのぐらいのレベルまで格差が広がった。これはちょっと大変なことだということを述べているわけです。

それから韓国の原油処理設備能力ということで、下のグラフに示したのは、韓国の一製油所あたりの能力は平均50万B/Dですが、日本の平均が12万B/Dぐらいで、一リファイナリーの規模が非常に大きいというのが特徴です。SKというのは旧ユコンの会社ですが、これは世界最大の一リファイナリー85万B/D程度というところです。それから一ユニットあたりの原油処理能力も日本では10万B/Dぐらいですが、韓国の場合は16万5千ぐらいなんです。たまたま、エクソンとモービルが合併いたしますけれども、シンガポールのこれはエクソンとモービルなんですが、これは隣り合わせになってまして、それが今、片方のトッパーを止めて一リファイナリーのパイプラインを通して運転しようとしていますけれど、そうしますとこれはだいたい韓国の平均ぐらいの感じになってきます。

モデルとしては19ページのグラフに載せたような、裏日本のほうは韓国から近いものですから、こちらから製品をもらったらどうかというようなことも考えております。特色がありますのは、韓国の中の輸送というのはパイプラインでこの蔚山リファイナリーとか麗川からパイプラインが首都圏まで通っておりまして、だいたい30%ぐらいをパイプラインで輸送しているわけです。船では3万トン級の船でソウルまで輸送しています。

それに対して日本の場合は最大でも5000トンぐらいの船でやっていますので、非常に海上運賃が高くついたために各所にそのコストをやすくするためにリファイナリーを、海上運賃を低減するためにリファイナリーを分散化させたというようなことが過去にはあったのでないか。韓国は韓国で北朝鮮の問題もありますから、それはあるとは思いますけれども、そういう物流コストの問題等があるのではないかと思います。

今回は石油製品関税をお互いにゼロにして計算をしています。日韓でこういう共同体のようなものができたらどうなんだ、ということを考えているわけです。

そうしますと20ページのような日韓石油産業の連携による経済効果、これは年間2〜3億ドルの収益増加が見られると書いてありますが、それはさまざまな前提条件の中の二つのケースをとった場合です。ティピカルな経済計算の結果から申し上げますと、韓国からはあまり複雑な装置を使わないで大きなトッパーからつくることができるA重油とか、ジェット燃料、これを裏日本のA重油、あるいは成田空港向けのジェット燃料、これらを中心に、これらはほぼ全量韓国からいただいたほうがコストが安い。一方、そのかわり軽油、これは0.05%の硫黄分のもので脱硫設備をきちんとしませんとできないものなんですが、それはソウルのマーケットは全部日本側からもらう。というようにお互い融通しますと、年間3億ドルぐらい儲かるという結論が出てきます。

それからその下の方で、今度は原油センターで、特にアフリカ原油を韓国を中心に導入をさらに強化した場合は、さらに1〜1.6億ドル程度収益増加が期待されるわけです。ということなんですが、これにつきましては、さらに本当はアフリカ原油をどんどんもってきますと、欧州のほうがタイト感を持ちますので中東原油を彼らは持っていかなければいけないということになりまして、欧州向けの中東原油の価格と日本の価格の差がなくなる方向にいきますから、世界貿易上のメリットがさらにあろうかとも思いますけれども、ここでは挙げていません。

 

 

 

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