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14:ターム原油のプライシング、欧米向けとアジア向けの原油価格の差分

 

先ほど価格が市場連動方式になってきたと申し上げました。7ページですが、ヨーロッパのほうではブレント価格のスポットプライスに連動いたしておりまして、アメリカはWTI (West Texas Intermediate)という原油種類のスポットマーケットに連動しておりまして、世界の原油価格はアメリカの市場が水準を決めていると言われています。その中で、アジアマーケット、ドバイ原油のスポットマーケットにリンクしたドバイ・リンクでアラビアンライトとかさまざまな原油がほとんど決められています。そういう意味で、ドバイ原油が世界の市場にリンクした形でうまく走っていれば、アジアマーケットもそこそこ欧米並の原油価格になるということなんですが、ふたを開けてみますと、次の8ページと9ページになります。

黄色で印をつけた背丈が、サウジの代表的なアラビアンライト原油が、同じ時刻にアジアに行く船と欧州に行く船の価格の差です。1991年にはあまり差がなかったのですが、1992年から1996年程度には1$/B程度、約800円とか為替によっては1000円/klぐらい。日本ベースでいきますと1000円ということは、年間2000億円程度になります。そしてたまたま1996年は逆にアジアマーケットのほうが安かったのですが、1997年、98年には2ドル50セントとか、2ドル程度高くなりました。それに対して、アメリカ向けと欧州向けのアラビアンライト原油、中東原油はどうなのかといいますと、ほとんど差がありません。なぜアジアマーケットはこんなことになっているのか、ということがひとつ問題になるわけです。

その2ドルを例えばアジアマーケットの輸入量にかけあわせますと、だいたい年間60〜70億ドルぐらいになります。このあいだの湾岸戦争のときに日本がアメリカに払った金額は60億ドルですので、エクソン・バルディスの環境汚染のときは全世界で30億ドルぐらいお金を出したわけですが、そういうレベルの問題として捉えるべきではないかと感じています。

 

15:タンカーの問題

 

次に10ページですが、いろいろ状況が変わってきておりますが、ひとつはチャンスとみるかどうかという、ひとつの状況の変化という意味ではそのエクソン・バルディスの問題からダブルハルタンカーに原油船を代えなければいけないという問題が起こっています。2001年までに25歳になる船が173隻と書いてありますけれども、1998年末時点でもダブルハルタンカーオーダー隻数が84隻ということで、現在がだいたい10%ぐらいがダブルハルタンカーに切り替わってきていますけれども、あとの90%は2010年ぐらいまでに造っていくというような状況にあります。その中段のところに原油タンカーの船型別隻数と書いてありますけれども、13%ぐらいの大型の船で45%ぐらいを運んでいるというような状況かと思います。

11ページに喫水がマラッカ海峡20m、ロンボク海峡が25mと書いてありますが、だいたい30万トン以上ぐらいになりますと、ロンボクを通らなければなりません。

 

 

 

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