それともうひとつは、アメリカの東海岸では、北側とメキシコ側に大きな原油ターミナルが二つぐらいあると聞いています。そこに大きな船で持っていって、あとは10万トンサイズぐらいのもので各リファイナリーに渡す。小さいミシシッピーだとかを渡らなければいけないせいもありますけれども、そういうところを小舟で渡すのが環境対策であると一部伝わっております。大きな船でエクソン・バルディスのようなものがあったら困るというようなことで、それについてご紹介して、それをアジア・マーケットの中で沖縄を使うことによって、日韓中あたりをうまくハンドリングする。先ほどの中国の船の環境汚染対策もありますし、そういうことが必要ではないかということを紹介しています。
いま、ベトナムには製油所がありません。ベトナムからは原油を日本は相当買っておりますけれども、その帰り船に石油製品を積むことが可能であれば、あちらのほうはちょうど製油所がいらなくなるようなことも、沖縄の有効活用の中に入れられるのではないかというふうに考えています。そんなことをお話ししようかと思います。
(小川 どれも大変興味深いテーマでございますので、質疑の時間を減らしてもお話をなるべく長い時間お聞きできればと思います。みなさん、いかがでしょうか。それでは、特にその研究課題1] 「日韓の石油産業連携オプションの分析」のところを、詳しくお話していただければと思います。)
10:エネルギー・セキュリティの論点
わかりました。それでは、2ページにまいります。先ほど十市さんのほうから相当変わってきたというところの話ですが、欧米の考え方で、この供給市場といいますか、エネルギーセキュリティ問題についてどんな考え方をしているのかというのを、二年ほど前にまとめたことがあります。
(1) 何が最重要な影響なのか、物理的不足なのか、価格高騰による経済へのインパクトなのか、という意味では価格高騰のほうであるということです。要するに物理的不足はあまり考えられなくなってきている。価格高騰による経済インパクトのほうが大きい。それをどうするかという経済問題のほうが大きいという考え方になっています。
(2) それから輸入依存度にエネルギーセキュリティ問題が関連するのか、特にアジアの中東依存の問題がどうこうということでは、関連性は特にない。世界的な水準の問題であるという考え方に欧米はなっています。
(3) 中東依存度との関係もそういうことです。
(4) 国内問題か国際問題か、という面では、国際問題である。日本の問題とみるかアジアの問題とみるか、ということについても、やはり世界的な問題というふうな考え方を欧米の人たちはしているようです。
(5) それからいったんそういうセキュリティ問題が発生したときに影響が及ぶ期間は短期か長期か、という点では、短期であろうというような考え方になってきています。