右側にありますのはbarrel/dayという単位で、日量何バレルという石油の世界では通常使う単位です。これを見ますと、だいたい一日あたり4000万バレルですね。世界の石油の需要量はだいたい7000万バレルですので、貿易量は7分の4ですから、6割をちょっと下回るぐらいの量で、それが取り引きされ、あとは国内で消費されている。そういうことですから、半分以上の量が国際的に取引されていて、しかもその最大の供給地域は中東地域であるということです。
先ほど申し上げた非OPECの生産がずっとここ十数年、特に最近になって増えてきているんですけれども、その非OPEC地域の大きな供給地域といいますのは、たとえば中南米地域、アフリカ地域、あるいは北海という地域での供給がかなり増えてきているということです。アジアというのはなかなか石油の供給が増えず、微増にとどまっている。かたやアジアでは需要がどんどん増えていますので、その結果、中東からアジアに石油がどっと流れるような構造になってきている。そういう形になっております。
3:世界の石油需給パターンの変化(1985-1997)
次の3ページがそれを少し図と表で示したものであります。上にありますように、世界の石油の需給パターンの変化を、1985年から1997年で書いてあります。これは旧ソ連をいちおう除いてありますが、世界の石油の需要量は、1985年から1997年で1,744万B/D増えたわけですけれども、その半分強がアジアだけで増えている。残りはその他です。
かたや供給面では、OPECが1,302万B/Dで、うち中東OPECがだいたい1,000万B/Dということです。ですから、アジアの石油需要が増えた分が、だいたい中東のOPEC産油国の増産でバランスをしている。旧ソ連の方は、結果的に生産も激減しましたけれども、消費も激減といいますか、供給がないから需要が減って、結果的にネットの輸出にほとんど影響していない。国際市場とはつながりはあるんですけれども、相対的に影響がなかった。外貨を得るために、必要な量は輸出するというようなポリシーできているということの反映であります。
その結果、中東とアジアとの関係は、1990年と1998年を比較してみますと、中東からの油の行き先として、北米とか西ヨーロッパはほとんど増えておらず、むしろ減少気味なんですね。これは先ほど申し上げましたように、アメリカですと、カナダとかメキシコ、あるいはベネズエラ、コロンビア、アフリカといろいろなところから、大西洋圏から油が流れてきて、非常に近いところの生産がどんどん増えたものですから、そこから油が流れてくるという構造です。そしてヨーロッパの方も域内の北海油田がどんどん生産を増やしたということもあり、アメリカとか一部ロシア、アフリカなどからも来ていて、ヨーロッパの需要自体が増えなかったということもありますけれども、増えていない。
それに対して、日本を含むアジアは、ますます中東からの供給が増えてきているということで、これが、ここ十年ぐらいの世界の石油フローで見た場合の特徴ということであります。