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それは合意に至らなかったんですが、粘り強くニュージーランドが交渉して、この問題に関しては合意は出来ないけれど、どうしたらいいかという検討委員会を設立しようということになり、検討委員会が設立されて、現在検討しています。どうなるかその結果はわかりません。

しかし、そういう合意を若干遅らせたのは、わが国の反対です。わが国はどういう意味で反対しているのか、反対理由もわかりませんが、反対しました。

 

42:海と陸を併せて管理するしかない:UNESCOなどの動き

 

現在問題となっている具体的なオーシャン・ガバナンスに関するいくつかの事業が進んでいるけれど、ひとつは、沿岸域を海と陸とを総体として管理して行かなければいけないということです。いわゆる沿岸域管理(ICZM, Integrated Coast Zone ManagementあるいはIntegrated Coast Area Management)では、海と陸を合わせた区域として管理して行くには、どのようにすればいいのかという問題が世界的に論議されていて、各国でも国内的に研究が進んでいます。カナダなどでは実行の段階になっています。残念ながらわが国はゼロです。

そのほかに、UNESCO/IOC (国際海洋学委員会)は、海洋汚染の90%は陸上汚染だから、陸上でどのように対策をとるかが海洋汚染防止の主要な課題だと考えています。しかし陸上は主権問題が絡んでいるので、一つも手がつけられない。ここに至ってもう駄目だ、こんなことでは海洋が死滅するということで、いよいよ国連は、この問題で一歩踏み出すことになったわけです。いちばん早い会議は1999年の9月27〜30日まで中国の杭州で、UNESCOの沿岸大都市問題に関するワークショップが開かれます。

わが国では東京都が主要メンバーで呼ばれていますが、2、3日前ユネスコから私に来たメールで「石原慎太郎さんが忙しいから来ないと言っている、どうしたらいいか」というので、「石原さんでは、今そういうことに考えも及ばないだろうから、諦めなさい。だったら急遽横浜市が出席するから、横浜市に対してインビテーションレターを送れ」というふうに言っておきました。それで横浜市に「これは重要だからとにかく出ろ」と言ったら、「そうですか、市長が行けるとは思えないけれど、代理として港湾局長あたりが行くか」ということで、いま調整を進めています。

そのほか、陸上汚染をどうするかということで、UNEPは、UNEP/GPA-LBAという大国際プロジェクトを始めています。これはUNEPでやって行くんですが、GPAとはGlobal Programme of Actionsのことでいま世界戦略を立てようとしているわけで、LBAの方は、Land-Based Activities、つまり陸上で行なう人間活動が、海洋に影響を及ぼしていく、その様な陸上の活動を、国際的な意味で調整をして行くというわけです。その中心がUNEPでは、UNEP憲章まで変えて、今から十年ぐらいは全力でこれをやるといって、このあいだスタートしました。UNEP/GPA-LBAのコーディネーション・オフィスができて、われわれIOIも主要な国際NGOとしてこの問題に関与することになりました。

言い足りないことがたくさんあって、まことに不充分ですが、質問していただければお答えし、なおかつ論争したいと思いますので、今日はここまでにしておきたいと思います。

 

 

 

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