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もう一つ、学者の世界では、海に関する法律というのは歴史的に古いし、もともと世界共通のルールとして始まったものです。万国海法会というのがありますね。日本海法会というのもありますが、それがしょっちゅう会議を開いたりして、いろいろこういうルールについて、油濁事故をどうやって保障していくかという研究もよくやっています。だから日本の場合も、先ほどの経済関係の脇村先生などが亡くなった後は、谷川久という成蹊大学の先生をやっていた海商法に詳しい人が、むしろ自分の専門領域を超えて最近は海運造船審議会の委員長をやったり、海運全般に学者的アドバイスをするという立場に立っています。特にあの先生の場合がそういうことに詳しいわけではなく、運輸省が便利なものだから海商法の世界を超えて便利に使っているということかなとも思います。

海運をめぐる研究者の状況というのは、たぶんそんなところで、それほど間違っていないのではないかと思います。(拍手)

 

質疑応答セッション

 

川村 どうもありがとうございました。このリストは、大変な労力で集められたと思いますが。

高瀬 集めたというか、元々情報交換のベースとして持っています。コンピュータの中に入っていたので、寄越せ、といったら打ち出してくれただけの話で、労力はそんなにかからなかったです。

 

5:ハブ港が神戸から釜山に移った場合の問題

 

川村 この前韓国に行って釜山の港を見ましたが、あそこがハブ港として最近、神戸を抜いたと言われていますね。そこでどういうメリットがあるのかということを考えてみましたが、船会社としてコストがかかるんでしょうが、例えば国として、あるいは他の物を輸入する、購入する側としてのメリット、デメリットはどうでしょう。例えば神戸から釜山に移った場合、どういうことが問題になるんでしょうか。

高瀬 先ほど申し上げたように、時間がかかる。要するに直接神戸で積み込んで行くよりも時間がかかりますね。やはりフィーダーポートというのは、付属物なんですよ。海運の世界では直接外洋を航海する船が寄らないと、いろいろな意味で不利益を被る。一つは輸送時間の問題、そしてコストの問題です。その二つでしょうね。

 

 

 

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