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川村 一応、このテーマはこれで終わりにしますが、これはこれからも残るでしょうね。サブスタンダード船の問題では解決策が見当たらない。

山内 先ほど海洋問題については、外交的な、あるいは国際政治学的な分析も興味深いものがあるということも言いましたが、以前にこれについてわたしがまとめた本があります。これは日本の海洋レジームに関する事例研究で、3海里から12海里プラス200海里に国際レジームが変わる際に、日本がそれにどう対応したのかというもので、これを読んでいただくと、この外交が成功だったのか、失敗だったのかがわかるんですが、いずれにしても国際政治学の研究対象にもなりうるということです。ここに置いておきます。

 

18:誰が研究しているかということも知る人ぞ知る

 

加藤 山内先生がお帰りになる前に、是非伺っておきたいことがあります。海洋問題に関する研究がいろいろなところで、縦割りで行なわれているようですが、どこで誰が研究しているかということも知る人ぞ知るという具合のようですね。それぞれの世界でやっている。わたしたちは、それをデータベースにしてみようかと思っているのです。つまり、世界には、どういう研究機関があって、どういうことをやっているということを調べて、データを蓄積したらどうか。このことについては、どう感じますか。

 

19:決定過程支援プラットフォームをシンクタンクが作ること

 

山内 私の感じたところは、担当省庁にとって、的確な政策決定支援のための情報やアイデアを出すということが、現在極めて重要になっているだろうと思います。例えば、現在、環境庁の水質保全局がやっているわけですが、これと協働するネットワークを広く社会に作る。

このことは、日本のすべての領域において言えることです。というのは、産業領域あるいは環境問題の技術的な問題を含めて、非常に激しい変化がおきている。また社会のそこここに知識が分散していますので、いまおっしゃったような政策決定過程支援プラットフォームを、さまざまなシンクタンクが作ることが極めて重要だろうと思います。

政策決定支援プラットフォームと申しましたが、プラットフォームという概念はなにかというと、その研究所が研究を行なうだけではなく、その研究所が提供するプラットフォームの上で、様々なインタラクションが起こるということです。例えば、「政策決定者が必要な情報がここにある」というように情報を束ねて編集を行なうわけです。政策決定者が、その情報の束を見まして、そこに挙げられた何人かと実際にコンタクトして見る。その結果、例えばこの問題についてはこの人が一番いいということになれば、その政策決定者がその専門家と協議を始めればいいわけです。プラットフォームというものを出せば、その上でいろいろなインタラクションが起こるというイメージですね。

 

 

 

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