かえって、空約束をして、中国の側から自衛官の受け入れを拒んでいる状況に関しては、非常に憤慨しているのが現状であります。そういう憤慨している連中でございますから、たかだか一回、二回訪問したぐらいでは思想転換するものでもございませんし、もしそういうふうに、ころっと変わる人がいるとしたら、かつての将官または現在将クラスにいらっしゃる方だと思います。ご存じの通り、日本特有の制度でございまして、将補一歩手前の一佐クラスが主として立案をし、課長クラスの決裁を仰いでいるというのが現状でございますので、昔と違って今はもっとよくなっているのだと私は理解しております。以上でございます。
85:ネットワークしても、中心は安全保障
川村 では加藤さん一言。
加藤 これは「公海の自由について研究する」ということで始めたプロジェクトでありましたけれども、結局、安全保障全般から、もっと広い分野の問題をやってみました。そして、今は、もう当初のスタートラインとは違って、「ネットワーク型の総合的な海洋研究所を作るためにはどうしたらよいか」という話に発展しております。そして、裾野は広がったけれども、「やはりその中心は安全保障だ」ということで、委員のみなさんのあいだでは、ほぼコンセンサスができている。これは、過去3年の勉強の結果から、そうなったのですね。
日本財団が中心となって、海洋関係の総合的な研究所が作られることを期待しておりますし、その際は、このグループがネットワーク形成のお役にたてればと思います。
86:21世紀のシンクタンクのあり方
川村 では小川さん。
小川 それでは3年間の長きにわたって、1000日にわたって一所懸命やりました、みなさんどうもご苦労さまでした。こういう会合がこれからの日本を作っていく原動力になると思います。けれども、いまの時代は与件がどんどん変わっていきますので、カチッとした組織を作ってもすぐに駄目になってしまいます。
最近、東南アジア各国で元気のよいシンクタンクを見ておりますと、2、3人核になる人がいて、目標を決め、いい人を集め、プラットホームを用意しまして、そこに専門家を乗っけて、舞台の上で踊りを踊っていただくというスタイルのシンクタンクが有力になってきています。
そうしたシンクタンクが、インターネットを通じて手をつないでいくところに21世紀があるというふうにこの3年間で確信しました。現実にそういう例もあります。SEAPOLの事例には大変元気づけられるものがありました。13
13 バンコクに所在するNGOで海洋研究の有力なシンクタンクSEAPOLについては、大内和臣教授のセッションの報告「東南アジアで一番元気な「海洋のNGO」SEAPOLの活動を通して学ぶ、2004年の国連海洋法条約見なおしに日本は何をすべきか」を参照して下さい。また、プラットフォームについては、山内康英教授のセッションの報告「縦割りの行政の弊害をもろにこうむるモニタリングと分析 日本の海洋環境モニタリングの現状と問題点」の質疑応答部分を参照。
是非このような集まりを続けていくことができればと思いますが、「何々のメンバーだから集まる」というのではなくて、ここに行くと自分の力が使われる、それが喜びであるというような形が21世紀のシンクタンクのあり方だと思います。
ということでご苦労様でございました。今日は大変長い間拘束しましたけれども、これに懲りずまたお越しください。以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
〈以上〉
議事録のなかで、秋元、大内、小川、加藤、川村、笹島、平間、恵、潮、山内、山本氏の発言は、原稿を回覧しそれぞれの発言者に添削をお願いすることができました。ここにお名前のない方の発言は、速記録のままですので、転写のさいに誤りがあることがあります。すべての文責は事務局にあることをお断りいたします。