第2部 講義録編
平成11(1999)年度 公海の自由航行に関する啓蒙普及事業 第1回(A) 研究委員会
縦割り行政の弊害をもろにこうむるモニタリングと分析
第3章 日本の海洋環境モニタリングの現状と問題点
講師:山内康英
(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター教授)
日時:1999年6月15日
場所:岡崎研究所
出席者:川村純彦(川村研究所所長)、秋元一峰(防衛研究所主任研究員)、小川彰((株)博報堂岡崎研究所主任研究員)、大越敏彦((株)博報堂岡崎研究所客員研究員)、加藤周二(国際経済政策調査会理事)・高瀬鴻((株)日本海運研究所代表、元日本郵船調査部長)、平間洋一(元防衛大学校教授)、恵隆之介(評論家・元琉球銀行勤務)
川村 第1回研究委員会では、山内康英教授をお招きしました。これから「日本の海洋環境モニタリングの現状と問題点」についてお話をうかがいます。山内先生の講義録そのものは、このあとで読みやすいかたちに編集した議事録を掲載します。ここでは、講義の前に行なわれた質疑応答のポイントをご紹介したいと思います。
1:縦割行政は親のかたき
まず、われわれは「日本にはどんな海洋環境問題の研究者がいるのか?」という質問をしました。これに対し、山内教授は、1998年に、アメリカのNGOの「ノーチラス研究所」1 と日米の共同研究「日本周辺海域の海洋問題」を行なったさいの、ネットワークづくりの経験を話されました。海外には問題ごとに有力な研究者のネットワークがつくられ、世界的な問題が発生すると、日本に対して接触してくる。日本にある同様のネットワークとコンタクトを試みるのです。海外のネットワークは属人的ですから、必ずしも日本の研究所のリストから電話をかけてくるわけではない。個人の名前で指名して接触してくるのです。
ところが、問題なのは、日本側があまりにも縦割りなものですから、海外のネットワークが日本でパートナーを見つけることは、ほとんど不可能というのが実態なのです。
1 The Nautilus Institute, 1831 Second Street, Berkeley, CA 94710-1902. Phone (510)204-9296, Fax (510)204-9298.