80:ストラテジック・シンキングまで守備範囲が届かない
大隅 同じ課といいますか、外務省日米安保課の中に日米地位協定室というところがありまして、そっちの仕事を主にやっている大隅と申します。さっき新居さんから「くだらない仕事をしている人がそこにいる」と言われたんですが、まさしくそうだと言えばそのような仕事が毎日あります。
大きなトピックで言えば普天間問題だったんですが、これは沖縄の『琉球新報』や『沖縄タイムズ』の「1999年の十大ニュース」のトップだったんですが、読売新聞などでは、30番目のニュースでした。
沖縄にサミットがくるということもあり、去年の年末にかけてバーッと物事がいろいろ進んでしまって、移転問題がひっかかった棘のようになっているという状態です。
本当に新居さんの発言にエコーするだけなんですけれど、やはり問題は、ストラテジック・シンキングの欠如にあります。きのうも私は、岡崎大使がちょっと調子がよかったので、さそわれまして、大使と6時から9時ぐらいまで新橋で何人かと一緒に飲みに行ったんですけれども、そのあと職場に帰って、酒が入っていたものですから12時から1時ぐらいまで仮眠はしたんですけれども、基地問題は仕事が山積しておりまして、その後また起きて朝5時まで仕事をしていたものですから、今日はウーロン茶ばかり飲んでいるんです。毎日がそういうような状況ですから、なかなかこのストラテジック・シンキングまで守備範囲が届かないという現状です。
81:外務省のほかには日米安保を守る人はあまりいない
ただ、ひとつだけ理解していただきたいのは、やはりさっきも話があったんですけれども、外務省は毎日が何か戦争状態と言いますか、結局外務省が日米安保を守らないと、やはり守る人というのはあまりいないんですね。各省庁なんか「これは日米安保の問題ですから外務省でやってください」といって最後は逃げちゃうわけです。そうするとそこの責任が全部外務省なり防衛施設庁にかかってきてしまう。そのひとつひとつの小さいアリが入るような穴が開いて、そこを見過ごしていると、だんだん洪水になってしまうというようなことを毎日感じております。
そのひとつひとつは、大きく見れば関ヶ原の戦いにおける「この森の50人対50人の戦い」だから、大したことないように思うんですけれども、それが全体の帰趨を制してしまうというようなことが結構身近に起きるものですから、そういうことのモグラたたきをやっているという感じです。
82:東シナ海での演習は最初が肝心
最後に、平松先生が今日来られるというので、是非来たくて、ちょっと遅れましたが駆けつけました。年末に本を2冊読ませていただきまして、ちょっと肉声を聞いて、どんな方が、こういう本を書いておられるのかということを確かめに来たということです(爆笑)。今日の話も面白かったです。Show Forceというところで、東シナ海で演習をやるとか、そういうようなことは、やりようによってはできるんだというご意見でしたが、そこをどういう形でやるか。