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ここでいろいろ検討されたんですが、川村さんのお友達のIMB(ロンドンにある国際海事局)のジャント・アビアンカ局長がこの海賊の実体について「こそ泥型から組織的になってきている」といっています。川村さんは、これを「21世紀型海賊」と名づけて雑誌に書かれているようですが、アビアンカ氏はその基地が中国にあることを指摘しております。先ほど話がありましたが、それが海南島のあたりにあるんじゃないかということです。ネットワークがシンガポールとかマレーシア、インドネシア、香港にまで広がってきていて、大変問題になっているということを強調しています。

IMOのセキュリティのE・パリット氏は、「よく訓練された海賊を叩くには国際海上警備隊を創設してヘリコプターや小火器を使用する必要がある」と力説し、「場合によっては海賊の基地を直接急襲することも視野に入れる必要がある」と主張しています。1998年の件数は229件から192件に減ったけれども、人員被害は16人増えて67人になっており、「非常に凶悪化している」と言っています。

これを受けてかどうか分かりませんが、7月2日に日本で運輸省や日本船主協会など官民の海運関係者で組織する海賊対策検討会議が運輸省で初めて開かれました。ここで得られた結論は、「海運会社を中心とする民間は沿岸国当局への通報を徹底するとともに、船ごとに自主的な保安計画の策定を行なう一方、政府側は沿岸国の通報先のリストを作成し、外交ルートを通した犯人検挙の要請などを柱とするアクションプランを策定して順次実施する」というものです。これを見るとほとんど他力本願です。日本として何をやるというのはない。

7月7日、これを受けて、大手海運企業の実務者担当者が海賊対策実施会議を初めて開きました。37社から44人が参加しています。ここでは各社ごとに保有していた海賊に関する情報の共有化を図るために日本財団が中心になって各社の持つ交通情報などを早急に収集しホームページなどで公表することになりました。それから警備の専門家などを集めた委員会を設置し、今年の3月をメドに有効対策を打ち出すことになっています。以後どのように進展しているかはわかりません。

昨年7月に産経新聞が「危機の予兆」という記事を連載しました。この連載はかなり評判になりましたが、その7月17日版によると運輸省外交課の海賊対策に対する回答は、「各船会社には対策を取るよう指導。沿岸各国には警備強化をお願いした。インドネシアには3月にも依頼した」というものでした。しかしインドネシア海軍は経済悪化で予算が大幅に削減されて警備能力が低下しており、船会社側としては見張りの強化やレーダーなどの自衛策をやるよりほかに方法がないというのが実状のようです。

昨年8月、曽野綾子日本財団会長が海賊関係でマラッカ海峡を視察しました。

 

 

 

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