61:「おれがおかしいのかな」
何の反応もないものだから、「おれがおかしいのかな」と思って、何人かの現役の自衛官、それもかなりトップクラスの人に電話をかけてそれとなく聞いてみたんです。そうしたら、「正論」を読んでないんです。「平松さん、それ何?」と言う。もう僕はがっくりですよ。
僕は何も自衛隊を代弁する気はないけれども、しかしやはり私も防衛庁で20年間飯を食わせてもらいまして、一宿一飯以上の恩を感じています。防研で一人前の研究者に成長させていただきましたから、なんらかの形でお役に立ちたいと思ってやっているのに、何も読んでなくて、「それ何?」と言われたのには、本当に私は愕然としました。まだその何人かの人たちはかなりトップに近いところにいらっしゃいます。
それで防研に電話をしたんです。防研で中国をやっている人にちょっと聞いて、「防研の中で俺の書いたことはちょっとは話題になっているのか?」と聞いたら、「それ何?」という答ですね。それで、詳しく話をしたら、「平松先生、そんなことはどうでもいい。防衛交流をやることが大事なのであって、われわれは今、懸命になって中国といかにして防衛交流をやろうかということになっている。そんなときに、プロトコールとか、受け入れの問題なんて、そんなものはどうでもいいです」と言うから、「バカ言え、冗談じゃない。そんなものいい加減にしていったら、もう馬鹿にされるだけなんだから、そういうことをしっかりしてやらなければいけないし、それができないのだったらそんなことやらなくていい」と言ったんです。要はそういうことです。だからやらないでいいんです。(拍手)
小川 盛大な拍手をありがとうございました。(拍手続く)
岡崎 ソ連共産党なら、こういう場合「鳴りやまぬ嵐のような拍手」と書くんですね。(爆笑)
62:中国の本格的な空母はいつ出るか?
川村 2005年に中国が航空母艦を持つだろうという話が出ました。実は去年、私は『世界の艦船』8 の木津徹さんに頼まれて、「中国の本格的な空母はいつ出るか」ということを書きましたので、そのさわりをご紹介します。9
まず、アメリカが持っているカタパルトで戦闘機を打ち出すような航空母艦の実用化は、2025年以降になると思います。10 現在、カタパルトの技術はアメリカにしかありません。
8 月刊『世界の艦船』 電話:3268-6351 編集人:木津徹。http://ships.acvs.com
9 川村氏が一般誌に発表した中国海軍の空母建造計画と日本の空母政策の論文に、川村純彦(元海将補)、伊藤靖之構成「2015年中国空母出現に備え日本も防衛型空母を持つべきだ:洋上防衛米空母のアジア配備が激減している今、シーレーンを守るにはこれしかない」SAPIO、2000年3月22日号、24−26頁。
10 カタパルトは、一種のパチンコの原理で、飛行機を空母から飛ばす仕組みのこと。ジェット機やプロペラ機のエンジンをふかした上で、100メートルぐらいの距離を強引に引っ張り、空母の先端から時速200キロ以上で洋上に打ち出す。航空機はその勢いで海面に落下する前に空に舞い上がる。(事務局)