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そこで、ごく単純に数字の遊びをしようといってやっているのは、GNPの中でどのくらいの割合であったらこのくらいであるということです。日本は1%ですけれど、中国で1%ということはあり得ないですから、まあ普通の国並に5%ぐらいと考えればこのくらい。それでは少ないと思えばもうちょっとで10%といったらこのくらいということをやっていくと、軍事支出は、国防費のだいたい5〜6倍。GNPの5%から10%の間ぐらいになるだろう。まあそのぐらいじゃなかろうかと考えています。

 

50:なぜ中国の軍事支出が2桁の伸びを示すのか?

 

最近は2桁の伸びを示しており、急速に伸びているということは、あれは何かということですが、これには軍拡だという見方もある。しかし、どういうふうに見るかということは別として、なぜ増えているかという、ひとつの見方として、私は十分な裏付けはまだありませんけれども、ただ、流れの中で言えることは、二桁代の伸びで増えてくるのが1989年からという点に注目しています。

1989年というのはどういう年か。中国は?ケ小平になって100万人の兵員削減をやりました。100万人の兵員削減には、数を減らすことに意味があるのではなくて、数を減らして質を高めることに意味がある。量から質への転換をやったわけです。数を減らして何をするかということが問題なわけです。そこに、近代化という方向が出てくる。数は少なくても、レベルの高い、ある程度ものを言う軍事力です。全面戦争はもう起きないという前提にたっていますから、数よりは質を高めて、機動力のある軍事力を作っていく方向に向かった。これが?ケ小平の100万人削減の意味ですね。これがほぼ3年間でいちおう達成できたということになっています。これは建前としてできるわけであって、それができたところで、次に何をするか?要するに質を高めるというのが始まるのが1989年なんです。

ですから、だいたいそれにのって、質を高めるような方向にむけて金がかけられて制度上の軍の近代化ができあがる。中国では合成集団軍という言葉を使っていますが、なんのことはない近代的な軍隊のことです。自衛隊で言ったら北海道の師団のようなものを頭に浮かべればいいわけですが、陸軍中心、歩兵中心の部隊から、もっと技術兵士を中心とする。それだけではなく陸海空が一体となって、統合作戦を行なうという方向に移ってくる。

そういう時代に入るのが1989年です。その建前として、そういう方向が打ち出されたのが、3年前で、3年間に24の合成集団をつくったと言われている。しかし、24合成集団全部がレベルの高いものを目指すわけではない。その一部の「重点部隊」に限定していく。仮に万のものを300万に減らしたわけですが、300万の軍隊を近代化するなんてとてもできるはずがない。初めからそんなことやる意志はないと考えていいわけです。ですから、例えばその中の一割の30万、二割の60万。そんなところで30〜50万という軍事力がある程度近代化できたら、これはかなりものを言う軍事力になってくる。その場合、海軍、空軍を含めて、現代の戦闘で十分に力を発揮する。こういう方向にむかい始めたのが1989年である。

そういうことで1990年になりました。ちょうどこれが、天安門があって、江沢民の時代になった。たまたまそれはそうなっただけの話です。江沢民に能力があるからなったわけでもなんでもないわけで、?ケ小平がちゃんとグランドデザインを作ってやったものが、?ケ小平が配置した軍人によって進められたということですね。

 

 

 

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