海上自衛隊だけではなくて航空自衛隊も含めて、お前さんがやりにきたら、こちらもこうやってやりますよ、ということを見せる。それが抑止というものですから、ちゃんとそれをやっていればいいわけであって、今までやらなかったから、いきなりやり出すと何か非難されるが、そういうことは堂々とやればいい。
47:軍事力はいかにして戦争をやらないかの道具
要するに、少なくとも今の時代では、軍事力というのは戦争ごっこをやる道具ではなくて、いかにして戦争をやらないかの道具なんです。つまり抑止という目的で軍事力があるわけです。要するに「抑止というのはこういうものですよ」ということを見せたらいいわけです。自衛隊の立場はよくわかりますけれども、「これは抑止なんですよ、いかにして戦争をやらなくて済むか、ということのためやっているんですよ」、ということでやればいいわけです。けれども、これまでは、それがあまりにもなさ過ぎる。
それから一般の国民も、軍隊というと「すぐ戦争をやるものだ」というふうに非常に飛躍してしまう。「そうではないんだ」ということを日常的に見せる必要があると思います。そういうことを私はもうずっと言っているんですけれども、載せてくれないんです。
私は内局が出している広報誌『セキュリタリアン』で対談をやった時もそれを言ったんですけれども、それを載せてくれない。それから産経にもずいぶんそれを言っているんだけれども、産経の記者も載せてくれない。産経でも政治的な配慮をするらしくて、載せてくれない。私はずいぶんそれを言っているんですけれども、載せてくれない。しかし、それしかないだろうと私は思っています。
48:『蘇る中国海軍』と中国の空母保有計画
二番目の質問ですが、空母を持つかどうかということはともかくとして、私は『蘇る中国海軍』の中で、中国が空母についての関心がいかに早くからあるかを警告しています。「関心がある」と「持つ」ことは別問題ですが、非常に早くから関心がある。やはり海に出ようと考えれば、否でも応でも洋上能力ということを考えて、行き着くところが空母になることは当然です。ただ問題は、それを持つことができるかどうか、運用できるかどうかです。それが大変なことだということは、中国の軍人もわかる人にはわかっている。
中国という国は何かやろうと思ったら、それにお金を集中する国ですから、空母を持つことは大変なことは大変だけれども、しかしできなくはないだろう。しかし実際に持っても、それを運用していくということになると大変だ。ということは、中国の軍人はバカではないからわかっている人達はわかっている。ということで、まだそこまでは至っていないということだろうと思います。