18:日韓石油産業の連携プレー
2年前になりますが、日韓の石油産業が共同オペレーションをやったらどれだけいいことがあるかを調べまして、日韓石油産業の連携プレーというテーマで報告させていただきました。けれども、2年前の話ですから、金大中大統領が歴史的な訪日(1998年10月)をする前の話でして、当時は「どうして日本と韓国が一緒にやらなければいけないのか」という、門前払い的な反応が韓国側からはございました。
それが、ようやく最近、少し溶け出してきて「日韓はやはり一緒にやらなければいけないのではないか」という議論も、分野によっては積極的に議論されるようになりました。石油業界については、明らかに日韓関係は変化しつつあります。
19:日中共同原油開発は可能か?
先ほどの平松先生の講義の質疑応答セッションでは、原油開発でも日中共同開発をやったらいいのではないかという意見が出ましたが、それについては、私としては、「その議論はそうはいかない」という視点をご紹介します。「そうはいかない」というのは、日中共同開発はできるかも知れない。しかし、例えばタリムの話をご紹介すればご理解いただけるかと思いますが、タリムで日中共同開発をやったら日本が掘ったところから原油が出てしまった。そうしたら、中国側の担当者がずいぶん怒られたらしいんです。「どうしてそういういい鉱区を日本に渡したんだ」となじられたというんです。それで、いまでは、「タリムでは絶対に原油が出ない鉱区を日本に渡せ」ということでタリムでは、原油は出ないということになっています。
それは、西沙や南沙で日中共同開発やったらうまくいくかというと、私はうまくいかないと思います。それはどうしてかと言いますと、コストの問題です。いま北海原油が、発見コスト、開発コスト、生産コストを入れて8$/バレルで仕上がるという状態になっていて、世界中海洋油田開発の技術レベルはとても高いんです。北海は回収率70%というような高い技術水準でやっている。そういう人たちの技術を導入しないと競争になりません。
20:ノルウェーにできたことが、日本にできない?
ノルウェーは25年間でそうなったわけです。ゼロから出発した漁民の400万人しかいない小さな国なんですけれど、ノルウェーはやり遂げました。日本にはどうしてそれができないかということで、私は、そちらのほうもいま勉強しているところです。よく言われるのは「ノルウェーにはフィールドがあった。恵まれた条件だったからできたのだ」というんです。しかし、フィールドがあっただけではなくて、フィールドを公開入札させて各メジャーに渡し、それと同時に石油技術公団のようなもので持ったんですが、それを使って情報公開システムを開発した。その時、たまたま、サウジのエネルギー政策によって、原油価格が30ドルから18ドルまで暴落しました。そこで、北海原油は「こんな値段では掘れないぞ、みんなで技術開発はもうオープンにやって、15ドル以下で掘れるようにならないと、もうどうしようもないぞ。今までの投資が無意味になってしまう」ということで、みんなが技術をオープンにしたんです。