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これが、ノルウェーにとっては幸運だった。公開された技術情報をみんな受け取ったのがノルウェーです。

ノルウェーはそういうことで技術開発をやったんですが、日本も昔は同じことをやっていたのです。呉の造船所で戦艦大和を建造した時に、武蔵を造った三菱の長崎造船所よりも優れた技術により工期も短くて費用も安くできるという技術屋さんがいた。この話は、最近戦艦大和建造の日記帳が発見されまして、それに基づいた話ですが、戦後、アメリカの会社が呉を買収したんです。その時に日本がつけた条件が「技術を全部オープンにしろ」というものでした。これはまさにノルウェーがやったことと同じじゃないかと私は感じていま読んでいるところです。土光さんとか真藤さんとかトヨタが呉を見に行って、いろいろ技術の融合ベースができた。そして、造船立国のほうへ行ったということのようです。

先ほどからのお話を聞いていますと、西沙や南沙に鉱区はあるんですね。そういう意味では、あそこに、アメリカとか、特にノルウェーも入れて、それでみんなで開発する。みんながくれば安全保障的にはキープできる可能性が非常に強いわけです。鉱区もあるし、あとは知恵だけかなということで、原油開発は不可能ではないだろうと思います。

 

21:アジア諸国全体で100億ドルも高い原油を買わされている

 

先ほどアジア諸国全体で100億ドルも高い原油を買わされていると申し上げましたが、たくさん払ったというのも、結局アジアに原油がないためです。ノルウェーのほうでどんどん掘るものですから、じゃぶじゃぶになって相対的に向こうが安くなる。業界用語で「業転原油」です。自分のマーケットの原油価格は安くしないで、よそで高く売るために、北海原油は沖縄のターミナルなど、今ノルウェーが韓国の国家備蓄タンクを借りて、中国向けに売り始めています。欧州よりも、こっちのほうの原油価格が高いわけで、フレート代も捻出できます。いまノルウェーが民間化しますので、是非日本勢も含めて一緒にやれたらなあと感じております。

 

22:高田屋嘉兵衛に学ぶ

 

私の直近のテーマはエネルギーの効率化なんですが、大学に再入学して二年ばかりとことんやってみようと思っているのは、高田屋嘉兵衛の発想を現代に生かすということです。高田屋嘉兵衛は江戸時代にロシア相手に民間外交をした人物として知られていますが、商売人でもありました。お米を積んできた帰り船になにか乗せないと商船はうまくいかない。そこで、ニシンを乗せた。ニシンを綿の肥料にしたので綿が増産できたという。

いま、原油船をみると、帰り船に何も積んでいない。何も積むものがないから、海水でいっぱいにして、日本の海水を移動して、サウジの生態系をぐちゃぐちゃにしているらしいんです。30年間もむだなことをやっています。それが、石油の輸出が解禁になりましたので、こんどは何かできるのではないか。原油を持ってきているところには石油製品がありますからね。エクソン・バルディスの大事故によって、ダブルハルタンカー(いま造りつつあるところですけれども)の新しいものを造る時に、海水と石油製品と原油の三つを積めるタンカーが従来の10%増し程度のコストでできるようになったそうです。これをつかって、日本の石油産業の効率化をなんとか研究していきたいと思っております。

 

 

 

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