そして、海洋法の三つの柱を紹介していただきました。1] 海の平和をどのようなかたちで構築していくか。2] 経済的な側面。例えば二国間援助体制を飛び越えた南北問題解決の制度をどうやってつくるかということ。3] 環境問題。海全体をひとつのエコシステムとして人類の責任で管理するという考え方でした。その中で、防衛研究所が中心になって進めている海洋安定化のためのOPK(Ocean Peace Keeping)についても紹介がありました。
13:布施先生講義のアウトライン
議事録の目次でいいますと次の通りです。
1:国際海洋法学会としての「IOI(アイ・オー・アイ)」
1.1:国際海洋法の研究とIOI
1.2:海洋法への日本のかかわり
2. 伝統的社会科学方法論の限界
2.1:横浜市立大学の例から
2.2:伝統的で形式的な社会科学は機能しない
3. 国際社会の基本構造の動揺
3.1:国家間の合意が機能しない
3.2:国連の限界
3.3:社会科学のほころびとグローバルイシュー
4:国際海洋法思想の変質
4.1:パルドー主義とはなにか
4.2:海洋法の三つの柱
4.3:国連海洋法条約の構造
4.4:オーシャン・ガバナンスと海洋の総合管理
5:海のPKO
5.1:海のPKO
5.2:OPK東京アピール
5.3:ユネスコなどの活動
14:「海洋自由」から「海洋管理」へ
秋元 川村所長が要領よくまとめられましたので、それに特に付け加えることはないんですが、布施先生が言われたのは、国際海洋法の基本構造が、国連海洋法条約の発効によって大きく変わってきているのではないかということでした。それまで、慣習的な国際法とか、個々の例えば漁業のための200マイル暫定水域とか、いろいろな取り決めがあったんですが、国連海洋法条約が発効して、それがいちおう「海の憲法」になった。これによって、客観的に見ると、「海洋自由」が「海洋管理」へと海洋利用秩序の基本構造が大きく変わってしまった。