私が感じましたのは、もし「海のシンクタンク」を作るということであればネットワーク型になるのであろうということです4 。多数の研究院を抱える巨大な研究所を作るということではなくて、まさにこの三年間、特にこの一年間、わたしどもが集中的にやりましたような各分野の海の専門家の人たちや機関をネットワークでつないで、海の問題に総合的な対応ができるようなしくみをつくることが「海のシンクタンク」を設立することになると考えます。本日参加しておられる大越敏彦さん(笹川平和財団から岡崎研究所に出向)には、日本財団の代表として聞いておいていただきたいと思いますが、多分この三年間の事業は十分にその下敷きになると思いますので、ぜひ日本財団にお伝えいただき、「海のシンクタンク」を作るときには、このいろいろな議論を反映させ、人脈を有効にお使いいただければと思います。
岡崎研究所、私ども(国際経済政策調査会)もお手伝いさせていただきたいと思いますが、その主要なネットワークの一環として、ここに参加していただいた方がネットワークにうまく入って効率的かつ機能的に動いていただきたい。海の研究だけではなくて、海に関する提言あるいは世論の喚起ができるような「海のシンクタンク」を日本財団のほうで是非お作りいただきたい。そして私どもの三年間の成果を是非それに活用していただきたいと、くどいようですが、大越さんにはよく財団のほうにもお伝えいただきたいと思います(大越 伝えます)。
また、川村さんには三年間委員長としてほんとうにご苦労様でした。ありがとうございました。以上、最初にこんなことを申し上げて恐縮ですが、感じているところでございます。よろしくお願いいたします。(拍手)
これから3時間にわたるシンポジウムの要点は下記の通りです。
1:開会の挨拶(岡崎久彦):「船から海へ」
2:21世紀の「海のシンクタンク」はネットワーク型で(ここまで終了しました)
3:平成11年度事業の進め方の説明 事業基本方針・事業内容・日本国内における研究
4:アジア各国の研究機関と関係を構築
第1回研究委員会-A(1999-6-15)山内康英氏「日本の海洋環境モニタリングの現状と問題点」
5:山内先生講義のアウトライン
第1回研究委員会-B(1999-6-15)高瀬鴻氏「世界海運が直面する諸問題」
6:海運政策の変遷
7:海運秩序の無政府化
8:わが国の海運の潜在的な問題点
9:高瀬先生のお話のアウトライン
10:「ついにシーマンシップは地に墜ちたか」
11:「シーレーンさえ守られていればいいんだ」という商売人の立場
4 この冊子の山内康英教授講義を参照。平成11(1999)年度「公海の自由航行に関する啓蒙普及事業」第1回(A)研究委員会「日本の海洋環境モニタリングの現状と問題点」(講師:山内康英・国際大学グローバル・コミュニケーション・センター教授)。とくに「質疑応答」参照。