「船舶」から「海」へ
岡崎久彦(岡崎研究所所長)
3年間どうもご苦労様でした。このプロジェクトは本来海のことをいろいろ調べることになっているのですが、支えてくださった日本財団(日本船舶振興会)は運輸省の管轄でありまして、いままでなんとなく関心が船舶に偏っていたように思われます。そこで、「日本財団助成事業として、海上交通路の研究や啓蒙普及活動をもうちょっとやってもいいのではないか」という話を、4年ほど前のことですが、わたくしからさせていただきまして、このプロジェクトの企画を、(社)国際経済政策調査会と相談のうえご提案させていただきました。平成8年の春のことです。
プロジェクトが始まったのは平成9年4月で、私も初めの頃は定例会に頻繁に参加させていただいて大いに勉強になりましたが、研究がすすむうちに、どうも専門でないものですから、あまり貢献できないなと思うようになり、川村純彦先生に途中から委員長をお願いした次第です。
私は、日米安保や朝鮮半島問題、台湾問題については専門ですが、海の話になると専門ではなく知識も浅い。この数年は近代外交史の著作のほうに時間をとられまして、だんだん時間がもたなくなってまいりましたので、専門の方にお任せしておりました。3年間まじめに研究しましたので、アジア各国の専門家のあいだでも、この海洋研究グループのことは、すっかり知られるようになったようで、立派な成果が上がりつつあるようでございます。
日本財団の助成事業のほうは、3年間つづけて頂戴しましたので、これからしばらく休んで、これまで手をつけにくかった海洋の安全保障分野の研究を、川村委員長を中心に自主研究として継続することになっております。こちらのほうも、皆さん、今後ともよろしくご援助いただければと思います。
さて、日本財団では、平成11年末の理事会で、今まで船舶中心だったのを海にかえると言っておりました。「船から海へ」というそうですが、これにはわれわれの努力もなんらかの影響があったものと思っています。ここに至ったのは日本財団のご協力、それから椎名素夫理事長の国際経済政策調査会のご協力、それから先生方のご協力のたまものであり、深く感謝申し上げます。それでは三年間のご苦労を謝しまして乾杯したいと思います。乾杯(拍手)
(「うみのシンポジウム」冒頭での「開会の挨拶」)