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沿岸諸国の無責任な権利の拡大は、長期的には、それらの国の国益をそこなうことになるのですから、そのような理を説明して納得してもらうことが大切です。この冊子の議事録のなかで、布施勉先生と大内和臣先生の講義が、この問題を考える上で最良の入門書となることでしょう。

 

海洋の総合的管理へ

 

世界は、「海洋の総合的管理」の方向に向かいつつあります。もし、管理に失敗するようなことがあれば、人類の生存が脅かされるわけですから、わたくしたちには、他の選択肢はありえないのです。200カイリ排他的経済水域の設定は、多くの貧しい国に豊かになる潜在的パスポートを与えたとみることもできます。資源がうまく管理運用されていないことは残念ですが、沿岸国側からも過剰な権利をもてあましているとの声も出ています。われわれは、21世紀を迎えるにあたって、海洋を、世界の諸国と力を合わせて、どのように管理していくべきでしょうか。

このレポートは、高校生のみなさんにも読んでいただけるように編集しました。日本財団がホームページに掲載してくれますので、高校の社会科や、市民講座のテキストとしても、お使いいただければ幸いです。このレポートを読まれて、国連海洋法や南シナ海問題、漁業資源や環境の問題のツボが、ひとりでも多くの皆様に理解されることを期待します。

2000年3月 委員長 川村純彦

 

 

 

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