3) 装着金具およびロープ
金具はその機能上、ロープを固定するための結合金具、ロープの長さを適切に操作するための遊動金具、送信体を誘導し装着ヘッドにドッキングさせる金具、さらにロープの捻れを防ぐスィベル等の組み合わせで構成されている。ロープも使用目的にしたがって適切な太さ、材質、製法のものを選定する必要がある。
ドッキング金具は鯨体に貫入したヘッドポイント近くの受入金具に対して、パイロットロープを操作することにより、船上に残しておいた送信体前端近くの入り込み側金具を誘導、合体させるもので、装着金具の主要部をなす。これは軽量・小型でかつ充分な強度と耐久性を必要とするとともに、その作動は極めて微妙であるにもかかわわらず、100%の確実性が要求される。
このような要求に基づき「ベルマウス」型を試作したが、高コストで性能が不十分であったため改良を加えた。
4) 本船打ちと肩打ち
ところで、ピン打ち込み方式は、当然、船上から発射装置を使用して打ち込むわけであるが、上述のように台座を船上に設置してその上にランチャーを載せて打つ場合(これを本船打ちという)、人間が持って通常の銃のように打つ場合(これを肩打ちという)とがある。
位置情報のみを送信する小型化された送信機の場合は、ランチャーも台座を必要とするものではないので、肩打ちによるとすれば、本船ではなく、高速の小型ボートで鯨にできるだけ接近し、装着ヘッドの飛翔距離をできるだけ短くして装着する方が、成功率が高いことは自明である。このことは、海外の研究者によっても報告されているので、高速ゴムボートをもちいての打ち込みが妥当であろう。
しかしながら、いずれの場合においても、打ち込み手となる人間の習熟度も、ピンの命中率をかなり左右することは明らかで、研究者がみずから射手となるのが適当かどうか検討の余地があろう。