1) 1989年の実験
1989年の実験に用いたシリンダー型ハウジングによるタグの概要は以下のとおりである。
《1989年タグの概要》
―サイズ;
直径70mm×長さ150mm
―内挿機器;
送信機(プログラム可能なTelonic製ST3型、出力1w)
コントローラーボード
単2アトラスリチウムバッテリー6個
水圧センサ
水温センサ
ハウジング、マイクロプロセッサーおよび使用ソフトは、オレゴン州立大学の海洋哺乳類研究グループが開発した。シリンダーハウジングの一方のエンドキャップには水圧と水温のセンサが、他方のエンドキャップには17cmのフレキシブルなUHFアンテナが直角に取り付けられている。また船上からのクジラの位置追跡のための小型VHF送信機(3×5×2.5cm)をシリンダー外部に取り付けた。
装着方式は、接着・針挿入方式とでも呼べるもので、次のようである。すなわち、このタグを長さ4.5mの棒の先端から吊り下げ、遊泳するクジラの背に接触させると、タグ基部の自動引き金が作動して、シリンダーに巻き付けられたスプリングコイルの先端のステンレス製縫合針(直径6mm)が、クジラの表皮と脂肪層に8cmの深さまで貫入し、タグの装着が完了するというものである。
2) 1990年の実験
1990年にはTelonic社で出力0.4wの超小型送信機ST6型が開発され、タグハウジングの大きさが大幅に小型化、軽量化された。このタグの概要は次のとおりである。
《1990年タグの概要》
―サイズ;
直径56mm×長さ125mm
―重量;
0.57kg
―内挿機器;
送信機(Telonic製ST6型、出力0.4w、A-cellソフトリチウム電池4個)
コントローラーボード
VHF送信機(A-cellソフトリチウム電池1個)
水圧センサ
水温センサ
―アンテナ;
シリンダーの両端にVHF用とUHF用のアンテナが直角に取り付けられている。