(注) 有意水準は ***=1%を満たしている。係数は、小数点以下第2位を四捨五入した。
t値は小数点以下第3位を四捨五入した。
(I) 行き先・交通手段の何れが先か
公共交通機関利用者の場合、質問項目(1)が4.3ポイント、質問項目(2)が2.2ポイントとなっており、目的地を決めてから利用可能な交通手段を選択するのであり、電車やバスを利用して当てもなくでかけることはあまり考えられていないことが示されている。
自家用車利用者の場合、質問項目(1)が3.7ポイントで公共交通機関利用者よりも値が小さい。逆に質問項目(2)が3.0ポイントとなっており、公共交通機関利用者よりも大きな値になっている。図表5に示されているように、両者の平均値の差は統計的に有意である。自家用車利用者は、行き先を決めてから交通手段を決める傾向を示しているものの、交通手段を決めてから行き先を考える可能性が、公共交通機関利用者よりも高くなっていることが特徴的である。例えば、質問票調査の際のインタビューでは、
「車で行けるところしか行かない」(高槻市、30代、カップル;三田市、30代、家族連れ)
「須磨海浜水族園だと高速道路を使ってドライブするのにちようどいい」
(和泉市、20代、カップル;岸和田市、30代、家族連れ)
などと答えており、ドライブすることが観光行動の主たる目的となる場合もあることを窺わせている。
(II) 利用交通手段に対する意識
公共交通機関利用者の場合、質問項目(3)が3.9ポイント、質問項目(4)が2.4ポイントであり、公共交通機関を優先的に利用する傾向を示している。
*26 以下の分析では質問時と評価尺度を逆転させ、数字が大きいほど質問の内容を肯定する意識が強いことを示している。すなわち、「非常に当てはまる」場合の「1」は5ポイント、「全く関係ない」場合の「5」は1ポイントに換算して集計した。