これらを除く89組について分析してみると、「いつも電車」「できるだけ電車」「電車が好き」といった公共交通機関常用者が20組、「電車が楽・自由」「時間が読める・正確」「渋滞がない」「公共交通機関が便利」「電車は速い」「料金が安い」として公共交通機関の利便性・正確性を積極的に評価しているのが19組であった。これらを合計した39組が常に公共交通機関利用への志向を示してい。また「子供がいるから」「自宅が駅に近い」「優待パス・定期を持っている」など自身の事情によるものが8組あった。「車がないからしかたなく」と答えたのは14組であり、これらの合計61組が、ほぼ恒常的に公共交通機関を利用していると答えている。
公共交通機関利用者で、自家用車と使い分けている28組がその判断基準としているのは、「目的地」が8組、「目的地までの距離・時間」が6組、「車の利用可能性」が4組「料金」が4組、「駐車場の有無」が3組、「渋滞の程度」が3組である。これら28組が潜在的自家用車利用者(選択的利用者)であり、場合によっては車を使う可能性を示している。例えば、姫路市近郊からの観客は、自宅から最寄り駅まで自家用車を利用し、電車に乗り換えて来ていた。その理由は、
「神戸市内の道路混雑と駐車場の混雑を避けるため」(姫路市、20代カップル)
であり、観客自らの判断で、利用交通手段を組み合わせて選択している。また同じく姫路市からJRを利用してきた観客は、
「姫路から西は車を利用し、東(神戸方面)は渋滞が多いので電車を利用する」(姫路市、50代グループ)
と回答しており、基本的には自家用車利用者であっても、目的地の交通事情によって利用交通手段を判断する場合があることを示している。
次に自家用車利用者174組の内、交通手段選択の基準・理由が「特にない・無回答」は12組であった。これらを除く162組について分析してみると、「理由なしにいつも車」「だいたい車」といった自家用車常用者が57組、「子供がいるから」「荷物があるから」が27組、「移動が自由」「時間が自由」「直接目的地に行ける」など車の「機動性」を評価しているのが15組、「車は便利・楽・速い」などの「利便性」を評価しているのが22組となっている。その他10組が自家用車を利用する理由として、
「歩くのがいや」(大阪市、30代、カップル;須磨区、30代、家族連れ)
「車で行ける所しか行かない」(高槻市、30代、カップル;三田市、30代、家族連れ)
「公共交通機関を利用するには不便」(神戸市西区、40代、グループ;三木市、50代、家族連れ)
「電車は乗換えが不便」(神戸市西区、20代、カップル;大阪市、20代、カップル)
「電車代が無駄」(加古川市、20代、カップル)
「車は安い」(徳島市、30代、家族連れ)
などが指摘され、非常に強い自家用車利用への志向を示している。