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平日と休日の所要時間を見てみると、公共交通機関利用者の場合、平日の平均所要時間は60分、休日が68分であり、僅かではあるが休日の方が遠方から来園している可能性を示している。

逆に自家用車利用者の場合には、平日の平均所要時間は88分、休日が79分となっており、平日の方が長くなっている。これは、平日の方が遠方から来園しているというよりは、神戸市内の一般道・阪神高速共に、平日の方が休日よりも交通渋滞が激しいからであると考えられる。

 

図表2 当日利用していない交通手段の所要時間に対する認識

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2.2 観光行動における交通手段選択

(I) 代替交通手段に関する認識

交通手段選択では、利用していない交通手段に関する不正確な情報をもとにして、交通手段が決定されている可能性がある。仮に観光施設の運営側が、交通手段毎の交通情報、例えば正確な所要時間などを提供出来れば、交通手段選択において所要時間が重要な判断要素の一つとなっているので、交通手段を変更させる可能性があると考えられる。

そこでまず、代替交通手段での所要時分、あるいは代替交通手段の存在そのものに対する認識の有無、つまり公共交通機関利用者は、自家用車を利用した場合の所要時間について、逆に自家用車利用者は、公共交通機関を利用した場合の所要時間についての認識の有無、及びその時間認識の正確性について分析していこう。

1] 所要時間に関する認識の有無

当日利用していない交通手段の所要時間に対する認識を表した図表2を見てみると、公共交通機関利用者の場合、107組中72組(67.3%)が、自家用車を利用した場合の所要時間について認識しておらず、認識していたのは35組(32.7%)であった。

自家用車利用者の場合も、174組中118組(67.8%)が公共交通機関を利用した場合の所要時間を認識しておらず、認識していたのは56組(32.2%)であった。何れの場合も、約7割が、利用していない交通手段について所要時間の認識がないか、あるいは推測出来ないと答えている。須磨海浜水族園の観客は、当日利用していない交通手段の所要時間をほとんど意識していないことが示唆されており、所要時間を判断して交通手段を選択しているわけではない可能性が考えられる。

 

 

 

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