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ここでは、旅行サービスの手配をする者に対して手配を行っても、旅行サービスの手配を行ったことにはならないので、オプショナルツアーを主催する現地法人に手配を行っても、手配旅行債務を履行したことにはならない。

第2は、手配代行者との関係である。

手配旅行約款第4条では、旅行業者は、手配旅行契約の履行に当たって手配を他の補助者に代行させることがあるとする。そして、手配旅行約款第27条により、当該手配代行者の故意又は過失により旅行者に損害を与えたときにおいても手配を代行させた旅行業者が旅行者に損害を賠償する責任を負っている。したがって、現地法人が旅行業者の手配代行者として旅行サービスそのものの手配を行ったことに故意又は過失があるときは、当然旅行業者は損害賠償責任を負うが、現地法人を旅行サービス提供機関の如く扱えば、その手配における故意又は過失は、運送機関の過失による事故の如く旅行業者は損害賠償責任を負わないことになる。そのため、この理論を認めるならオプショナルツアー以外の場合においても旅行業者と旅行サービス提供機関との間で手配を行う者を手配代行者とせず、旅行業者は海外にある現地法人の代理人であると考えることが可能になり、手配旅行約款第27条の規定が無意味になる余地がでてくる。

第3は、受託旅行業者と旅行者との関係が複雑化することである。

日本からの主催旅行業者の現地法人の主催するオプショナルツアーの手配に手配旅行契約が成立すると考えることを認めると、一般に主催旅行の受託旅行業者は、旅行者との間で主催旅行契約を代理して契約を締結すると同時に自ら手配旅行契約を締結すると考え得ることになる。したがって、同じ旅行で主催と手配の2つの旅行契約が締結されることとなり、受託旅行業者が旅行者と主催旅行契約を締結したとき関係が複雑化する。

 

第4章 旅行業法におけるオプショナルツアーの問題

 

本章では、オプショナルツアーについての旅行業法上の問題を検討してみる。

旅行業法第2条では、「旅行業」及び「旅行業者代理業」の定義を定め、これらを営む者が行う一定の行為を「旅行業務」としている。さらに、旅行業法第3条では、旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、運輸大臣の行う登録を受けなければならない、とされている。なお、本邦外の主催旅行を実施するには登録業務範囲を第1種とする旅行業の登録を受けなければならない(旅行業法施行規則第1条の2)。

日本からの主催旅行業者が、オプショナルツアーを主催する場合から考える。日本国内で旅行契約を締結するのならば、当該行為は旅行業務となり、旅行業法の規制を受けることになる。しかし、旅行者と旅行業者の間の取引が外国で行われるのであれば、旅行業法の規制は及ばない*4-1

 

*4-1 旅行業法制研究会著『旅行業法解説』1986年トラベルジャーナル 60頁

 

 

 

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