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日本からの主催旅行業者がオプショナルツアーにおいても主催者となる場合は、主催旅行約款を適用することには問題ない。

問題は、現地法人が主催するオプショナルツアーの場合である。私は、日本からの主催旅行業者が旅行者からオプショナルツアー参加の申込みを受け付け、契約の締結が承諾されたなら両者の間で手配旅行契約が成立すると考える。

なぜなら、手配旅行約款を適用しなければ旅行者がオプショナルツアーの契約の基準を認識できないためである。その場合は、旅行業者は個々の契約毎に契約の成立、変更、解除の取扱いの条件を明確にすればよいのであるが、実際、約款が旅行者に示されている程度と同程度にそれらが示されているわけではないし、また、個々の契約毎にそれらを旅行業者に求めるのは、煩瑣でかつ徹底できないおそれが大きいからである。

また、1983年に標準旅行業約款が告示される以前の日本旅行業協会の「旅行業約款例」では、他の旅行業者の主催旅行に関し、当該旅行業者と旅行者の媒介をする旅行契約を手配旅行の契約のひとつとしている。パッケージツアーを小売りする場合も、手配旅行契約に属す*3-19と考えている。オプショナルツアーは、日本の他の旅行業者の主催旅行ではないが、パッケージになっているため同列に考えることができ、この規定を類推しオプショナルツアーを小売りする場合も手配旅行契約に属すとすることができるだろう。もっとも、当該約款は現在は適用されていないものであり、この行為を媒介と考えるのも問題がある*3-20が、過去の受託契約が明確にされていない時期に、このような考え方がなされていたのは参考にすべきである。

しかし、当該オプショナルツアーにおいて、旅行者と日本からの主催旅行業者との間で主催旅行契約が成立すると考えるのは適切ではない。現地法人は、旅行サービス提供機関の如く旅行業者にとってその業務について管理することはできないこと、取消料の規定など現地の法令・慣習にしたがってオプショナルツアーを設定していること、その他現地事情を考慮せずにそのまま主催旅行約款の規定を適用するには無理があることが理由である。

ただ、手配旅行契約が成立すると考えるには、次のような問題が残る。

第1は、手配旅行約款第3条の問題である。確かに、手配旅行約款第2条第1項では、自ら旅行サービスの提供を行わない者に対して、手配を行っても問題はないと読み取れるが、一方、手配旅行約款第3条では、手配旅行契約における旅行業者の債務の履行の終了は、「旅行サービスの手配をしたとき」となっている。

 

*3-19 岡田信二監修『海外旅行の苦情処理』1978年森谷トラベル・エンタプライズ 163頁

 

*3-20 谷沢一著『ホテル旅館営業の法律講座』10版1991年柴田書店 213〜214頁では、「旅行業者は(商法)第543条にいう「他人間の商行為の媒介をなす」仲立人に該当」し、仲立は「旅行業者は客の依頼により電話で旅館に申込んだが、それ以上の世話はしない、というような例で、旅行業者は旅館との契約当事者にはならない」として旅行業者がする媒介という行為の例を示している。

 

 

 

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