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最初は物珍しさがあるものですから、すぐ飛びついてしまうけれども、その反面すぐ離れることが多いですよね。だから、今の観光施設づくりというのは10年もたない施設がたくさんあると思うんですよ。最初の1年目、2年目でお客さんが来て、「わあー、成功だ」と言っているけれども、5年、10年たつともう閑古鳥が鳴いている施設が結構ありますね。

実は足助の中でも足助屋敷あるいは百年草というのも、だんだんそういう初期の勢いが少しずつ衰えてきております。これらはやはりそういう施設の持つ宿命であると思うのです。それに対して、やはり香嵐渓という自然をベースとしたものというのは、70年たっても衰えが全然ないわけです。多分これは21世紀の半ばになっても衰えないと思います。その違いだと思うのです。

だから、よりどころとして短い期間で高い収入を一気に上げるか、長い目で、長くもたせる方法を考えるかだと思うのです。そういう意味では、今我々がAT21というものをやっていますけれども、これははっきりいって全然商売につながらないです。それを活動で僕らが呼びかけて、仲間で20人ぐらいでイベントをやるんですけれども、全く無報酬で、もう労力は全くただですね。最後に何がご褒美があるかといったら、じゃあまあ、一杯飲もうよと、それだけなんです。

でも価値というのは、それでつまらなければ去っていけばいいんだけど、やることに対して外からの評価が受けられ、自分たちがやったという喜びがやはり返ってくるんです。そういう人の喜びが、格好よくいえば自分の喜びになる活動、それが僕はこれからまちづくりとか観光地づくりには一番欠かせないことじゃないかなと思います。

泉佐野市でもたくさんの人がおられるから、きっとそういうユニークな人がおられると思うのです。できるだけそういう人たちと、行政という立場からどういうふうに接点を求めていくか、そんなところじゃないかと思います。

○参加者

自然をベースにということなら長く続くのではないかということですけれども、まさにそのとおりで、こちらへ来れば四国一の清流を誇ります四万十川でなくて穴吹川というのがございます。その自然を求める人たちが、毎年何万人とあります。

ところが、今、後始末が大変なんです。穴吹川で川遊びをしたり、バーベキューをします。そこにごみくずがあったりですね、ひどいのにはトイレをしたり、いろいろな状況なんです。その後始末をするのにやっさもっさやっているんですけれども、足助ではもみじのシーズンの後始末というもの、そういうことに何か案がございましたら教えていただきたいと思います。

○縄手

香嵐渓周辺に関しては観光協会で有料駐車場、町の施設ですけれども委託を受けて管理をしているんです。今、この駐車場収入が、大体800台ぐらい入る収用能力なんですけれども、これで1億円ぐらいの駐車場収入があります。そのうちの3,500万円ぐらい、3分の1がそういう清掃管理に当てる費用です。そのために今観光協会では6人のそういう公園管理と称していますけれども、人夫さんを雇っています。

ごみ、トイレの問題というのは本当に我々も大変でして、秋のこのシーズンになりますと、絶対トイレが足りないものですから、仮設トイレを渋滞する国道沿線だとか、香嵐渓の中にも置きます。約60基ぐらい置くんですね。これの費用が大体200万円くらいです。もちろん人件費は抜きで。それぐらいにお金のかかる仕事です。秋の期間は駐車料金を1回800円いただくんですけれども、一般の人は「観光協会は儲かっていいね」と言われます。

 

 

 

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