それから、もうすでに皆さんは何回かご経験をされているのではないかと思うのですけれども、ジャーナリストに一生懸命ご協力されたのに、納得のいかない記事が出されたり、あるいは全く記事が掲載されなかったりすることもあるのではないかと思うのです。実は私にも、自分ではよく出来たと思った記事が掲載されないこともあれば、編集の段階で記事がめちゃめちゃに修正され、とても自分の文章とは思えないようになることもあります。また、普通の出来だと思った記事に、予想以上の反応がある場合もあります。ジャーナリストとしましては、手に負えないところがあるわけなので、皆様にもご理解をいただければと思います。
もう一つの例といたしましては、東京の吉祥寺の記事の話をさせていただきます。18年前になるのですが、吉祥寺は海外には全然紹介されていませんでした。当時、私は近所の荻窪というところに住いがありましたので、ぜひ皆さんに吉祥寺というすばらしい街を紹介しようと思っていたのです。そこで、ある有名なフード関係の雑誌から依頼を受けて、取材をしました。言うまでもなく、これはプロポーザルを出して採用されたもので、短期間の厳しい締め切りでしたが、ちゃんと原稿を仕上げました。でも、それから半年以上何も連絡がありませんでした。二、三回ほど問い合わせてみましたが、あまりにもしつこく言うとまた逆効果だし、約束した原稿料はいただきましたので、黙って待つしかなかったのです。
それで、今はインターネットによって契約の仕方が大分変わりましたけれども、当時は、2年以内に掲載されない場合、他の出版社に売り込んでもよいという契約内容でした。ですから2年間待ち、情報を再チェックした後、別の雑誌にもっていったところ、採用され、表紙に出す特集記事にしていただき、おまけに賞までもらいました。でも、このようなケースはあまり望ましくありません。というのも、元のところからは10年近く依頼がありませんでした。
インターネットについてですけれども、皆さんご存じのように、現在はものすごく発達しています。それが世界中、どこからでもアクセスができるものですから、いろいろなウェッブサイトに情報を送ることは、想像以上の効果があります。こちらに来る前に、JNTO(ジャパン・ナショナル・ツーリスト・オーガニゼーション)、つまり国際観光振興会さんが持っているウェッブサイトを見てみましたら、やはり徳島が少しありました。でもそこに紹介されていたのは、「ああ、なるほど」というぐらいのものしかなかったのです。やはり今の時代ですから、もう少しウェッブサイトのほうに力を入れるべきではないかと思います。独自のウェッブサイトを持っているのが一番なんですけれども、そうではなくても、すでにあるJNTOさんのようなウェッブサイトをお借りして情報を提供すれば、一つのまとまりにもなるのです。
私も自分でウェッブサイトを持つのは仕事で忙しくてとても出来ないので、「東京フードページ」というところに、「文化の味」という内容だけ私が提供するのです。向こうはその内容がおもしろければそれでいいということなので、向こうもお金は取らないし、私も出さないということで、お互いさまなんです。
それから、記事は一旦新聞や雑誌に出てしまえば、特に海外の場合ですと、何ヵ月後、何年後には、もう一度自分が使ってもいいという契約内容なので、ウェッブサイトに、例えば五、六年前のものをちょっとアップデイトして出すこともできます。
最新情報というのをしつこく言いますけれども、もう一つだけお話をします。つい最近、先月10月に私がニューヨークヘ行った時の話です。マンハッタン53丁目2番街というのは、住宅街というか、オフィスビルがそんなにないところなんです。