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ある角を通りかかっていると、日本の雑誌を持ってうろうろしている3人組の女性に出会いました。実はその角には前、「カナディアンパンケーキハウス」という大変人気のある店があったわけです。皆さんはパンケーキというと、可愛らしいふわふわしたものを想像するでしょうけれども、あの店のはすごく大きいんです。おばんさいみたいなお皿に一つのるぐらいで、それが重ねて6枚あります。とにかくとても食べきれなくて、それを名物にした店だったのですが、今年の4月に閉店をしたのです。

それで、皆さんはそれを探しているのではないかと思い、日本語で話しかけましたら、びっくりした様子でしたが、案の定、パンケーキハウスを探しているところでした。閉店したということを説明しましたら、「ではほかのニューヨークらしいお店を紹介していただけませんでしょうか」と聞かれましたので、私が「そうですね、ニューヨークらしいというのはベーグルじゃないのかな」と、ベーグルを売っているその近所のお店を紹介したわけなんです。

しばらくして、同じ場所を通りましたら、今度はまた同じ雑誌を持った2人連れの女性に出会いました。その人たちもパンケーキハウスを探しているということなので、またベーグルショップをお教えしました。

翌日、日本に帰るとき、まずい機内食のかわりにおいしくベーグルを食べていると、何と後ろからその3人組に声をかけられたわけなんです。その場で、ちょっとお話をしましたが、もし私と出会っていなければ、その日の出来事がなくなったというか、がっかりしていたというわけなんです。ですから、常に情報は最新でなければ役に立ちません。かえって、本当に逆効果になり、悪い印象を与えることになります。

そして、そのちょっとしたことなんですけれども、その話しかけられたというのが話題になっていて、何か人間関係といいますか、すごく身近な気持ちになるわけです。

これからパネルディスカッションと、それぞれの分科会に分かれて、いろいろ具体的なものをお互いにお話しし合うことになるのですけれども、私が会場を回ったとき、何か皆さんの参考になればと思います。

どうもありがとうございました。

 

 

 

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