○参加者
私はよく思うのですけれども、日本に来た外国人を日本人の旅館でなくてまずホテルに泊めるのが一つの問題ではないでしょうか。
○澤
そうです。澤の屋が外国の方の受け入れを始めた時に、日本の人が来て、あるお客さんに「なぜこんなところに泊まっているのか、東京にはいいホテルがあるのに」と、ホテルヘ連れていったことがありました。そのお客さんは安くて、居心地がよくて、この街がおもしろいと思っていたのに、お客さんの意向ではないのです。要するに日本の人が「こんな小さい澤の屋にこんな有名な人をどうして泊めるのか、帝国ホテルがあるのになぜだ」と言うのです。それは日本の人に考えを変えてもらうことです。大事なのはお客さんが喜んでいるかどうかなんです。
それともう一つは、ジャパニーズ・イン・グループも最近になって始めましたが、インターネットです。うちは今年に入ってからインターネットのホームページを開設して、予約を受けているので、世界からお客さんが入るようになりましたし、日本のお客さんも入ることがあります。
そうすると、金沢市としてインターネットのホームページで海外に英文の案内を始める。もう始まっているとしたら、そのホームページの宿泊の項目に、金沢旅館組合なり、旅館の団体が入れてもらう。そうすると、金沢へ行きたいと思った時に、金沢の情報をインターネットで調べる。泊まりたいという時に、そのホームページに必ずホテルが載って、旅館も載っていれば、予約が入ってくるのではないかと思います。
何かアッという間にインターネットは広がりました。
○参加者
インターネットのことなんですけれども、個人的な経験から言いますと、この3年ぐらいインターネットが日本でも大ブームになっているのですが、本当を言えばまだ日本の社会にはあまり浸透していないと思います。日本人は旅行を計画すると、まず旅行代理店に行って、パンフレットを取ってきて、そこから予約とかを入れさせてもらうと思うのです。
なぜインターネットがこの日本のホテル産業というか、旅館産業、旅行業界でまだ浸透していないかと、すごく不思議だなと思っています。
○澤
インターネットは、まだ電話料が高いのです。1日中つながなければならない。ところが、私どもは台東区に住んでいて、台東ケーブルテレビというのがあるのですが、ケーブルテレビをつなぐと、一日中見ていても、大体月に四、五千円なんです。NTTも定額制を何とかやろうとしている。定額制で四、五千円でつなぎっぱなしができるようになれば、日本にもインターネットがどっと増えるのではないかと思います。
もう一つ問題は、特に海外から来た場合に、お客様が実際に来なかったらそれで部屋が空いてしまうということです。ジャパニーズ・イン・グループや、澤の屋ではクレジットカードのギャランティー・レザベーション制度を利用しています。この制度は、予約が入ったら一緒にクレジットカード番号をもらう。もし予約していて来なかったら、カード会社を通して1泊分の請求をする。そういうカードでのギャランティー・レザベーションというものが海外では根づいています。