うちの場合はつぶれそうになって始めたので、何の準備もしなかったから当然だったのですが、いろいろなトラブルが起こるたびにどんどん貼り紙をして、まさに泥縄式でした。
にわとりが先か、卵が先かということと同じことだと思うのですが、外国の人を迎え入れるために、大げさなことをするのでなく、ウィークデイだけ外国の人を受けてみませんかというふうなことで始めてみたらいかがかなというふうな気がするのですけれども、川上先生はどう思われますでしょうか。
○ホーリ・シバート・川上(基調報告者)
澤さんのおっしゃるとおりだと思います。
外国人の場合は、最初の場合は、団体で来るかもしれません。しかしそういう方以外は、東京なら下町にある旅館とか、こちらの石川県の場合だと、温泉旅館に泊まりたいと思うでしょう。いろいろなチョイスがあれば自分の目的に合わせて、自分の好みに合うところを決めることができます。
結局チョイスがあるということが大事です。例えば澤の屋で泊まれば、その中でもチョイスがある。澤さんが二、三の例をおっしゃったと思いますが、例えば食事が取れるかどうか、それが一つのチョイスです。どこまでの対応をするか、それはそれぞれのところで違うと思いますけれども、どんなチョイスがあるか、どういうふうにできるか、はっきりお客さんに説明することが大事です。
チェックリストがあればすごくいいでしょう。そうすると誤解がなくなると思います。
○澤
ウィークデイだけでなく、川上先生がおっしゃったように、在日の方でも訪日の方でも、一泊二食で一泊泊まり、温泉の日本旅館に触れてみたいという方も、全体ではないけれどもいらっしゃると思うので、そういう人をターゲットにしてやってみることから始めたらいけるのではないかという気がします。ただ、山代温泉では「外国の人、どうぞ」と、まだみんなでの発信がないと思います。貼り紙から何から全部つくって受け入れ態勢ができてからだと、それはいいことだと思いますが、それができてからやろうとすると、何年もかかると思うので、最初にやってみましょうと、だから一泊二食の食事を、食べないなら来ないでいいというぐらいの気持ちで、一泊二食でよければどうぞということで始まったほうがいいのではないでしょうか。始まっていく中で何かが見えてくるのではないかという気がします。
○参加者
金沢にたくさん外国人がお出でいただいているのですけれども、結局旅館に泊まらないというのは、我々の情報発信の欠落ではないかと思っております。どういう情報発信をすれば旅館にお客さんが泊まっていただけるかというのが一番悩みの種なんです。金沢はいろいろなグレードの旅館がありますので、差別化は十分できております。あとは戦略的な問題でないかと思っているのですけれども。
○澤
アジアの人はやはり口コミです。口コミというのは呼び水がなければできません。誰かが最初に泊まらなければ絶対に呼び水にならない。ではどうやって泊まってもらうかということが一番大変なことで、やはり行政、地元、旅館業が一緒になって辛抱強く金沢へいらっしゃいと呼びかけ、来た人を今度はいかに大切にして口コミでやってもらうかということ以外はないのではないかと思います。