これを断ったら国際問題になるのではないかなとか、これだと差別していると思われるのではないかなと、最初は思っていたのですが、今はやれること、やれないことをはっきりさせる。そのかわり私共のシステムを事前に相手に知らせるようにしています。
アジアの人が個人旅行をし始めたので、これからは欧米の人にかわって、もっともっとアジアの人が地方に来てくれるのではないかと思います。今、台湾の人たちはみんな団体で動いています。今は和倉温泉の加賀屋に年間6,000人の方が来られて、これはすごくいいことだと思います。ただし、それはツアーの団体さんと聞いていますが、いつかはそれがばらけて、個人旅行にかわって、2人とか、3人4人とか、そういう形になって旅をなさるのは時間の問題だと思っています。その時に、各旅館が、どうやって受け入れるかということではないかと思います。
○参加者(山代温泉関係者)
ウィークデイに対する温泉地の取り組みの一環で外国人受け入れを、街の方々、商店街の皆さんと話しあうことがあります。そういった皆さんはまだまだ外国人慣れをしていませんし、外国人受け入れの取り組みをどのようにしていくべきかとかということで悩んでいます。本当にまずどのようにして第一歩を動かしていけばいいかという状況なんですけれども、何かヒントがあれば教えていただけないでしょうか。
○澤
行政の人と話をしたりすると、「外国の人を受け入れましょうと言った時に、来た外国の人に特別のことをしてあげられなかったら嘘をついたことになるでしょ」と言われます。日本の場合は何かを100%そろえて、それでやっと外国の人を呼ぼうとしているから、いつまで経っても呼べないのではないでしょうか。一つ一つ何かをきちんとやって、整えてからでないと外国の人を迎えられないと思いこんでいるのではないでしょうか。
言葉についても、言葉がわからなかったら外国の人を迎えられないと思い込んでいる。私も最初はそうだと思っていました。そういうふうに言葉がわからないから受けられないと思っていたら、スペインの人を受けるにはスペイン語、フランスの人を受けるにはフランス語、韓国の人を受けるには韓国語がわからなければ受けられません。それではもう世界の人を受けられません。でも今の私のほんのちょっとの英語で、それも単語で、文法はほとんどできなくても、74カ国の方を受けてしまいました。英語を全然できない方も受けてしまって、それでもできてしまいました。あそこの旅館はフランス語もわからないのに受けているというクレームは受けていません。
まだ何の用意もしていないから山代温泉では外国の人を受けられないというのではなく、これだけ暇だからウィークデイだけでも受けてみようかとか、一泊二食で来てくれれば一番いいし、一泊二食がだめだと言われたら、では半分ぐらいは食事なしでもいいとか、1人でも2人でも受けてみることから始めたらどうでしょうか。
そうすると、やはり今までみたいに旅館の中に閉じ込めて、外に出さないというよりも、旅館は旅の中の一部分で、街の中へも出ていってもらってというふうな形でやることで、街と宿と一緒になって、行政も含めて、全体が一緒になって外国の人を迎え入れることが、一番喜ばれるのではないでしょうか。だから今のままでも、「外国の人、どうぞ」と、始めてしまうことが、大切なことだと思います。