分科会C<私たちの街に外国人が泊まれるのか?>
担当パネリスト 澤功
○澤
一軒でも外国の人を受け入れる宿が増えればいいなと思って、マスコミの取材があるとほとんど受けています。うちでもやれるんだからどこでもやれるんだということを知ってもらうには、マスコミで紹介してもらうのが、一番だと思っているからです。
ご出席の方のメンバー表を見させていただくと、全部の方が旅館ではないのですが、宿泊施設の方は外国の方を、受け入れておられるのでしょうか。
○参加者
当社のほうはどちらかというと、ビジネスマンを対象とした受け入れのほうをしております。ネックになるのは、一つはお料理の面、もう一つは受け入れの時間帯の面、それから定員という面です。
○澤
うちで一番最初に問題になったのは門限でした。ホテルは24時間やれるし、旅館でも人がいて、24時間やれるなら、それは全然問題ないと思いますが、うちみたいな家族旅館は24時間開けられませんし、東京の場合はドアを開けて寝ることはできません。フロントデスクは朝7時から夜のll時まで開いていますが、ちゃんと表示をしなかったら、1時でも2時でもフロントに来てドンドンやられました。でも、フロントに「フロントデスクの時間は何時から何時までです」と書くことで、時間が過ぎているのに夜中にフロントでドンドンやることもなくなりました。
自分のところのルールを、チェックインなさった時点で事前に全部情報として相手にあげるということが一番大事なことではないかと思います。
定員については、畳2枚に1人というのは、あくまでも保健所が決めたことであって、定員というのはすごく難しいと思います。うちで外国の方を泊め始めた時に、一番最初に言われたことは、広さが違うのになぜ同じ料金なのかということ。それと、国によってはルームチャージという形が部屋代なんだから、この部屋をルームチャージで買えば何人泊まってもいいじゃないかと、そういう議論が出てきました。その時は、日本の部屋のシステムは1人に対して幾らとなっていて、“for one person, for two people, for three people”で幾らで、1人ならば幾らだけれども、2人なら幾らなんだと、だから日本は日本のそういうやり方があるのだということで、頑張るところは絶対に頑張りました。
食事については、旅館業界は泊食分離ということが今すごく問題になっています。国によっては宗教的に食べられないものもあるので、一泊二食でも受けられるけれども、夕食なしでも受けられるという形でないと、やはり外国の人は、受けられないのではないかと思います。
ホテルの場合には、あなたは特別なお客様ですということで、差別化をしてその人を優遇するようですが、うちの場合は反対に家族旅館ですから、毎日、大体7カ国の方が泊まられているのに、7カ国の方に対して違うことはできません。だからアジアの方も欧米の方も全部同じ形で接遇をしています。
こういう経験をしていくと、自分のところでやれること、やれないこと、断ること、断らないことを、はっきりいうようになりました。